中国の金融政策方針が転換点を迎えつつある。もともと、中国の中央銀行である中国人民銀行は、行政組織である国務院の下部組織であり、その国務院も共産党の下部組織である。中国にとっての重要事項は共産党の最高意思決定機関である常務委員で組織した会議で決定され、金融政策も結局はこの党の意思決定の裏づけが必要である。その中で、12月3日は胡錦濤国家主席の主催する政治局会議が開かれ、来年の金融政策についてこれまでの「適度に緩和的」から「穏健」へと中立的な態度に政策が変更されることが決定されたようだ。
足もとでは食品価格などのインフレの動きが強まっており、それが社会不安を招くリスクが台頭し始めている。景気過熱を長らく事実上放置してきたツケが出てきている。今後の金融政策における引き締めは非常に舵取りが難しい。これを受けて、12月10日以降の中央経済工作会議、来年の全人代へと繋がって行く。
【時事通信】
金融政策、引き締めへ=「適度な緩和」から転換-中国
2010/12/03-17:10
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201012/2010120300709
新華社電によると、中国共産党は3日、胡錦濤総書記(国家主席)が主宰する政治局会議を開き、来年の金融政策について、これまでの「適度に緩和的」という表現を使わず、「穏健(慎重)」な政策に戻すとし、金融引き締めに転換する方針を初めて確認した。
中国当局はアジア金融危機が発生した1997年以降、2008年に米国発の金融危機が深刻化するまで、「穏健な金融政策」を採用していたが、09年以降は「適度に緩和的」な措置を講じてきた。
政治局会議では一方で、「積極的な財政政策」を継続する方針も確認した。金融引き締めによる景気腰折れ懸念も根強いことから、財政出動で経済成長を下支えする。
【読売新聞】
中国、金融引き締めへ「中立的」に
2010年12月4日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20101204-OYT8T00329.htm
中国共産党は3日、胡錦濤総書記(国家主席)が主宰する政治局会議を開き、来年、「穏健な金融政策を実施する」ことを決めた。
2008年秋のリーマン・ショック以降、約2年にわたり採用してきた「適度に緩和的」な政策から「中立的」なスタンスへ、金融引き締めの方向で政策を見直す方針を初めて正式に打ち出した。
【サーチナ】
サーチナ 第122回-田代尚機
2010/12/06(月) 10:26
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=1206&f=business_1206_047.shtml
中国共産党中央政治局常務委員会は3日、来年の経済政策について、“積極財政政策と“穏健”な金融政策を実施し、マクロコントロールの的確性、柔軟性、有効性を高める”と発表した。
2008年秋に金融危機が発生した後、中国の金融政策はそれまでの“穏健”から“適度寛松”へと変更された。今回、その“適度寛松”が、以前の“穏健”に戻されたのである。ちなみに、1997年から2008年までの間、中国の金融政策はずっと“穏健”であった。
緩和は“寛松”、緊縮は“緊縮(日本語と同じ)”の意味。“適度寛松”は適度に緩和した状態、“穏健”は“寛松”と“緊縮”の中間、つまり中立を表す。すなわち、今回の変更は、緩和気味の政策から中立に戻すといった意味合いである。
話はややこしいが、金利を矢継ぎ早に上げて行った2007~2008年当時の金融政策も“穏健”であった。そのことを参考にすると、今回も大幅な利上げが行われるのではないかと思うかもしれない。しかし、現状では、ほとんどのエコノミストが文字通り中立に戻すに過ぎないと予想している。
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