2010年12月26日日曜日

(12月7日-4)アイルランド2011年予算

アイルランド政府が2011年の予算を発表した。この予算案の成立がIMFやEUからの支援の大前提となっている。この予算では、2011年に60億ユーロの削減が予定されており、2012年が36億ユーロ、2013年が31億ユーロ、2014年が31億ユーロで、4年間の累計で158億ユーロの財政収支の改善を目指している。

【Government of Ireland】
Published on Tuesday 7th December 2010
Finance Minister Brian Lenihan delivers Budget 2011
http://www.merrionstreet.ie/index.php/2010/12/finance-minister-brian-lenihan-delivers-budget-2011/?cat=3

2011年予算を示すブライアン・レニハン財務相


【Ireland Department of Finance】
Budget 2011
http://www.budget.gov.ie/budgets/2011/2011.aspx

2011年予算     億ユーロ
予算修正額        60.00
  税制改正        11.12
    所得税       10.54
    付加価値税     0.14
    法人税        0.21
    資本取得税     0.27
    印紙税        -0.36
    その他        0.33
  PRSI            2.96
  歳出改革        39.30
    支出         20.70
    投資         18.60
  その他          6.60
    資産処分       3.00
    通信免許       1.85
    負債管理費     1.20
    配当増        0.55

歳出と歳入のどちらに赤字削減の重きが置かれているかと言うと、歳出改革に重点が置かれているようだ。マスコミなどの報道によれば、法人税は企業の海外移転を防ぐために現状のまま据え置かれ、社会保障などの歳出分野に大きなメスが入れられるようだ。

削減計画(億ユーロ)
      2011  2012  2013  2014
合計    60.0   36.0   31.0   31.0
歳出    39.3   21.0   20.0   20.0
歳入    14.1   15.0   11.0   11.0
その他   6.6

しかし、その財政見通しの前提として、GDP成長率の仮定が楽観的過ぎるような感じがする。これから多年度にわたりたいGDP比で大きな歳出削減を続けざるを得ない状況下で、足もとの2011年からプラス成長が続き、2012年には3%近くの比較的高い経済成長に戻ると言う見方はかなり楽観的な気がする。ユーロに加盟していることから、為替の調整による輸出ドライブでの景気回復の望みが無い中、不動産バブル崩壊の後遺症を金融部門が抱えていることもあって、楽観的過ぎないかと言う感じが強い。再び、アイルランドが財政見通しを修正させられる可能性はきわめて高いと判断せざるを得ない。

対GDP比
              2010  2011  2012  2013  2014
総債務残高        94.2  98.6 102.0 102.5 100.0
財政収支         -31.9  -9.4  -7.3   -5.8  -2.8
プライマリーバランス  -28.8  -6.2  -3.3   -0.2  -2.7
利払費           3.0  3.3  4.1   5.6  5.5
経済見通し
GDP成長率         0.3  1.7  3.2   3.0  2.8
GNP成長率        -2.0  1.0  2.6   2.4  2.4
消費者物価        -1.5  0.7  1.0   1.7  1.7

【朝日新聞】
アイルランド、6600億円赤字削減策 11年度予算案
2010年12月8日12時57分
http://www.asahi.com/international/update/1208/TKY201012080121.html
【ダブリン=有田哲文】アイルランド政府は7日、2011年度予算案を発表した。支出削減と増税で60億ユーロ(6600億円)の財政赤字削減を盛り込んでいる。アイルランドは欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から緊急融資を受ける方針だが、実施には、こうした緊縮財政が前提になる。予算案の審議がこの日から始まり、一部が下院で賛成多数で可決された。

アイルランドは国内総生産(GDP)の約1割にあたる150億ユーロ(1兆6500億円)を圧縮する方針を示しており、11年はその最初の年になる。子ども手当の削減や課税最低限の拡大のほか、閣僚の専用車をやめて共用とする。

【ブルームバーグ】
アイルランド議会、11年予算案の一部可決-緊縮財政で危機打開図る
2010/12/08 11:40 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aDkeP1Ow3ivg
12月8日(ブルームバーグ):アイルランドのレニハン財務相は、同相自身が「同国史上最悪の危機」と呼んだ緊急事態に対処する60億ユーロ(約6650億円)規模の緊縮策を盛り込んだ予算案通過に向けた最初の一連の投票で議員の支持を得た。

議会は7日遅く、最初の一連の採決で財政決議案を相次いで可決した。レニハン財務相は、2011年度予算案は、アイルランドが「再びしっかりと自立する」第一歩だと指摘した。

11年度予算が成立すれば、子供2人で夫婦の年収が計9万2000ユーロの世帯には、年間2830ユーロの増税となる。年収5万2000ユーロの単身世帯では同1295ユーロの増税だ。

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