2010年5月9日日曜日

(5月7日-3)ギリシャ支援承認

5月7日ユーロ圏が緊急首脳会合を開き、ギリシャ支援に関する決定を行った。

Meeting of Heads of State or Government of the Euro area, Brussels,


Eurozone summit – Final Press Conference from vloghvr on Vimeo.

【ギリシャ支援決定の発表内容】
STATEMENT OF THE HEADS OF STATE OR GOVERNMENT OF THE EURO AREA
http://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_data/docs/pressdata/en/ec/114295.pdf

Implementation of the support package for Greece

In February and in March, we committed to take determined and coordinated action to safeguard financial stability in the euro area as a whole.(2月と3月に、我々はユーロ県全体における金融の安定性への予防対策について協調した行動を取る決定にコミットした。)

Following the request by the Greek government on April 23 and the agreement reached by the Eurogroup on May 2, we will provide Greece with 80 billion euros in a joint package with the IMF of 110 billion euros. Greece will receive a first disbursement in the coming days, before May 19.(4月23日のギリシャ政府の要求、5月2日のユーロ圏の合意に基づき、我々はギリシャに800億ユーロ、IMFとの共同パッケージで1100億ユーロの支援を行う。ギリシャは5月19日(ギリシャ国債の大量償還日)前の、今から数日後に最初の支援を受け取ることになる。)

The programme adopted by the Greek government is ambitious and realistic. It addresses the grave fiscal imbalances, will make the economy more competitive, and will create the basis for stronger and more sustainable growth and job creation.(ギリシャ政府の採用する計画は野心的で現実的だ。その重大な財政不均衡への取り組みは経済をより競争的に、より強く、そしてより維持可能な成長で雇用を創出するものである。)

【首脳会議参加者画像】
Summit photo directory
http://www.european-council.europa.eu/media/77334/lnt_bce_%20may%202010.pdf

同日、ギリシャやフランス議会でこのギリシャ支援に関する決定が行われており、短期的に『ギリシャ』の大きな山場は超えたかもしれない。問題は、ギリシャが格下げされたことによる同地域を本拠とする銀行の格下げが同時に起こっていること、そしてこの銀行と取引を行っていたカウンターパーティの域内欧州銀行で、取引などに支障が出ている可能性が強いということだ。このようなレピュテーションリスクに関する情報は、一般的に理解されていない面もあるし、問題が連鎖しやすいと言うことから悪化を懸念して情報がなかなか出てきにくいという特性があるので、なんとも言えないが、予断を許さない状況である。

また、他の国に問題が波及することを防ぐ目的で、「欧州安定化メカニズム」という基金をセーフティネットを用意することも決めたようだ。これは、9日の緊急EU財務相理事会に提案されて決定される見込みだ。基金規模は、この日の発表時点で700億ユーロ程度が想定されているようだ。ギリシャが3年間で1100億ユーロの金融支援であるので、それと比較してどうなのか、パッと見は少ないのではないかと思ったのが第一印象だが、アナウンスメント効果の方を期待しているのかもしれない。

ギリシャではこれまでにストライキが多発している。

5月1日のメーデーでは、このメーデーにおけるデモ行進で過去最大規模の数万人がアテネで行進を行い、市内の数箇所ではデモ隊と警官隊が衝突したようだ。アテネ大前で一部デモ隊が石や火炎瓶を投げ、国営テレビの車などが炎上。市中心部の高級ホテルの窓ガラスが破壊され、米大使館に向かおうとした別のデモ隊も警官隊と衝突したそうだ。

5月3日には各地の市職員が24時間ストを実施、失業中の教師らが国営テレビERTの本社ビルに乱入する騒ぎがあった。政府閣僚のインタビュー番組を中断させ、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)からの1100億ユーロ(約14兆円)の支援と引き換えに政府が決定した緊縮策への抗議声明を読み上げ、IMFの緊縮策を批判した。

また、5月4日には最大の公務員労組連合組織「ギリシャ公務員連合」(組合員約75万人)が緊縮策に抗議し、急きょ48時間ストに突入した。同日、共産党系組合の約200人がパルテノン神殿に集まって「ヨーロッパの人々よ、立ち上がれ」と書かれた横断幕をアクロポリスの丘から垂らして抗議している。
民間の組合団体である「ギリシャ労働総同盟」(組合員数約200万人)も5月5日にストに参加し、同国内が完全にまひ状態となった。アテネ中心にある高級ホテルや財務省事務所なども放火されたほか、トルコのテレビ局の中継車を含む多くの車が炎上した。銀行のビルも放火され、3名の支社が出たようで、その建物に火炎瓶を投げたのは過激派の若者集団の5人との情報もある。現場は市中心部スタディウ通りのマルフィン・エグナティア銀行(3階建て)とのこと。テレビでは黒覆面を被った無政府主義者、もしかしたら暴れたかったものが行き過ぎた行動によって、このような惨劇を引き起こしてしまったのではないかと言うコメントまである。

短期的にはギリシャ国債のリファイナンスに目処が付いたと言えるが、このようなストライキが起こっている中で、本当にギリシャの財政再建化が進むのであろうか。社会不安を抑えることが、当面の最大の課題と言えるだろう。

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