ニュージーランドが2010年度(2010年7月~2011年6月)の予算案を発表した。ニュージーランドもリーマンショックの影響によって、財政収支が悪化している。しかし、将来を見据えて消費税を引き上げる一方で所得税と法人税を引き下げるなどの税制改正を実施し、中期的な財政健全化は推し進めるようだ。具体的には、財政収支は2015年度にはプラスとなり、政府の純債務残高はその前年度の2014年度に対GDP比で27.4%を記録した後徐々に低下してゆくと言う図を描いている。中長期的には、2021年度までに、純債務残高を20%未満とする。2023年度には14%となる見通しだ。
Minister's Executive Summary 2010
Published 20 May 2010
http://www.treasury.govt.nz/budget/2010/execsumm
Budget 2010
Page updated 20 May 2010
This is the home page for Budget 2010 for the government of New Zealand. Hon Bill English is Minister of Finance.
http://www.treasury.govt.nz/budget/2010
対GDP比(%)
財政収支 総債務残高 純債務残高
97年度 1.8 39.3 30.6
98年度 2.3 40.0 30.0
99年度 0.1 37.0 24.8
00年度 0.5 33.8 23.3
01年度 1.2 32.2 21.0
02年度 2.0 30.6 20.2
03年度 3.3 29.6 18.5
04年度 3.9 26.3 16.7
05年度 4.7 24.8 13.1
06年度 4.5 25.2 10.2
07年度 3.5 24.8 7.8
08年度 3.1 25.7 5.7
09年度 -2.1 23.5 9.3
10年度 -3.7 28.4 14.1
11年度 -4.2 32.8 19.6
12年度 -2.5 32.3 23.0
13年度 -1.9 31.7 25.3
14年度 -1.3 32.7 26.5
この2010年度予算を見ていくと、ニュージーランドは「Core Crown」の歳出と歳入を中心に財政政策を語っており、最終的な出来上がりの「Total Crown」ベースでどうなっているかは、良くわからないので、税制などを見る人は別に構わないのだろうけど、統計を見ようと思っている人にとってはちょっとバツが悪い。この「Core Crown」と「Total Crown」の定義などはパッと調べてみて分からなかったので、面倒だから放って置く事にした。
税制改正については、まず所得税減税が掲げられており、それぞれの課税所得階層毎の税率を
0.0~1.4万NZ$ 12.5% ⇒ 10.5%
1.4~4.8万NZ$ 21.0% ⇒ 17.5%
4.8~7.0万NZ$ 33.0% ⇒ 30.0%
7.0万NZ$~ 38.0% ⇒ 33.0%
とするようだ。この所得税率は2010年10月1日から適応される。また、法人税については2011年4月1日からそれまでの30%を28%へと引き下げるようだ。
一方、売上税(GST)は2010年10月1日から12.5%を15.0%に増税する。
所得税減税によって、4年間で累計143.3億NZ$の歳入減、法人税減税によって11.2億NZ$の歳入減、反対に売上税増税により、4年間で累計110.2億NZ$の増税になる。その他、様々な経済財政政策や、経済効果などによって、4年間累計の財政への影響は4.15億NZドルの歳入減となるようだ。
この予算案の結果として、2010年度のニュージーランドの財政ポジションは、上記数値にあるとおり、財政赤字の対GDP比は-3.7%、純債務残高は14.1%と、他の先進諸国よりも健全性の高い状態だ。
国債発行計画は以下の通り。今年から来年にかけて純発行額が結構増加するが、上記財政ポジションを考えれば、日本やギリシャなどと比べても問題の無い大きさである。
10億ニュージーランドドル
10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
市場性国債
発行額 12.9 12.8 10.6 10.0 5.9
償還額 -4.2 - -7.9 -7.9 -
純発行 8.7 12.8 2.7 2.1 5.9
非市場性国債
発行額 0.8 0.2 1.0 1.0 0.3
償還額 -0.7 - -0.8 -0.8 -
純発行 0.1 0.2 0.2 0.2 0.3
総純発行額 8.8 13.0 2.9 2.3 6.2
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