2010年11月7日日曜日

(10月27日)TPP影響度

TPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)に関して、内閣府、経済産業省、農林水産省の3府省が10月27日にそれぞれ影響度に関する試算を発表した。TPPやEPA、FTAなど、貿易に絡む英語3文字が並び、良くわからないのだが、下記国家戦略室の資料から概略を見てみると以下のような感じに見える。



◆EPA・FTA◆WTO協定上、「実質上すべての貿易」の関税撤廃が必要。、少なくとも貿易の9割(貿易量又は品目数)につき、10年以内に関税撤廃することが必要との解釈が一般的。我が国が締結したEPAにおいては、双方向の貿易額の9割以上(日本側は品目数では84~88%)を10年以内に関税撤廃。

◆TPP◆P4協定等を踏まえ交渉中と考えられるが、どの程度の即時撤廃が必要かは現段階では不明。いずれにせよ、原則10年以内の関税の撤廃が必要と考えられる。P4協定では、特段の定め等がない限り「全ての関税を撤廃」。実際は、全品目の約8割が即時撤廃。その他は原則10年以内の関税の段階的撤廃。(P4とは、環太平洋戦略的経済連携協定(Trans‐Pacific Strategic Economic Partnership Agreement:シンガポール、NZ、チリ、ブルネイ)によ る経済連携協定の通称。)

自由化の度合いについて

◆EPA・FTA◆長期(10年超)関税撤廃や除外を含む「“実質上すべての貿易”の例外」の扱いについて、WTO等で具体的要件が確立しているものではなく交渉次第。我が国が締結したEPAにおいては、自由化にカウントされない1割程度の品目について、除外・再協議等の例外的対応。

◆TPP◆交渉参加にあたって、自由化例外品目を提示しての参加は認められない。

■我が国がTPPに参加した場合の留意点
日本経済を活性化するための起爆剤。アジア太平洋の成長を取り込み、新成長戦略を実現。韓米FTAが発効すれば日本企業は米国市場で韓国企業より不利に。TPP参加により同等の競争条件を確保。

■TPP参加の留意事項
予め特定セクターの自由化を除外した形の交渉参加は認められない可能性が高い。10年以内の関税撤廃が原則(除外は極めて限定的だが、最終的には交渉次第)

【国家戦略室】
包括的経済連携に関する資料(平成22年10月27日)
http://www.npu.go.jp/date/index.html

その、経済への影響をみると、以下の様に計算される。前提が異なるし、その前提自体が正しいかどうかも検証のしようが無いのだが、TPP等に参加した場合、内閣府は6.1~6.9兆円のメリット、農林水産業は‐7.9兆円のデメリット、経済産業省は10.5兆円のメリットがあるとそろばんをはじく。それぞれの省が管轄する分野に偏った答えになっているが、全体的に見て、経済産業省などは韓国を具体的な競争対象と考えて試算をしているようだ。韓国企業はただでさえウォン安の追い風を受けて日本より何歩も先を行っている。輸出立国としての日本の経済の形をどうするのかという政治力が試されているのだが、菅政権はこのあたりに関しても優柔不断にふらついているように見える。

【内閣府試算】
                  GDP(%)    金額(兆円)
FTAAP参加            1.36%      6.7兆円
TPP参加            0.48~0.65%  2.4~3.2兆円
TPP+日EU EPA+日中EPA 1.23~1.39%  6.1~6.9兆円
日EU EPA+日中EPA※   0.50~0.57%  2.5~2.8兆円
日本がTPP、日EU・日中EPAいずれも締結せず、韓国が米国、EU、中国とFTA締結
                ‐0.13~-0.14%  -0.6~0.7兆円
※センシティブ分野自由化せず

【農林水産省試算】
主要農産品19品目について直ちに関税撤廃を行い、対抗策を何もしない場合

生産減              -4.1兆円
食料自給率          40%⇒14%
農業の多面的機能の喪失  -3.7兆円
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農業及び関連産業への影響
GDPの減少額         -7.9兆円 (実質GDP-1.6%)
就業機会の減少        -340万人

【経済産業省の試算】
(ア)日本がTPP、日EU EPA、日中EPAいずれも締結せず
(イ)韓国が米韓FTA、中韓FTA、EU韓FTAを締結
(ウ)自動車、電気電子、機械産業の3業種について
(エ)2020年において日本産品が米EU中のシェアを失い、関連産業への影響も含む

実質GDP    ‐1.53% (-10.5兆円)
雇用       -82.1万人

韓EU FTA : 2010年10月署名、2011年7月1日発効予定
韓米 FTA : 2010年7月1日発効を目指し、11月の大統領訪韓時に修正合意の可能性
韓中 FTA : 2010年5月に官民研究終了。2011年前半に本格交渉開始
米韓FTA交渉が10ヶ月程度で妥結したことを踏まえれば、1年以内に韓国と米・EU・中とのFTAがほぼ揃う可能性


《ニュース備忘録》

【ロイター】
中国は物価安定策を講じる方針=国務院
2010年 10月 27日 18:02 JST

【ロイター】
中国、違法な資本フロー阻止のため規制を強化=外為管理局
2010年 10月 27日 15:02 JST

【ロイター】
11月のFOMC、追加緩和策に関するシナリオ
2010年 10月 27日 14:34 JST

【ロイター】
FRB、数千億ドル規模の国債買い入れ計画を発表する公算=報道
2010年 10月 27日 13:11 JST
米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は27日、米連邦準備理事会(FRB)が来週、今後数カ月にわたる数千億ドル規模の国債買い入れ計画を発表する見通しだと伝えた。WSJ紙は、国債買い入れ計画の詳細はFRB内部で調整中だが、大枠は固まったと伝えた。情報源は明らかにしていない。

【ロイター】
TPP参加、実質GDPを0.48─0.65%押し上げ=政府試算
2010年 10月 27日 13:01 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17854320101027

【ロイター】
欧米が中国レアアース輸出問題に懸念表明、米国は首脳会談で提起も
2010年 10月 27日 12:58 JST

【ロイター】
欧米鉄鋼大手、需要失速で年内は業績低迷と予想
2010年 10月 27日 11:38 JST

【ロイター】
米中間選挙では共和党優勢との見方、下院は過半数奪回も
2010年 10月 27日 11:24 JST

【ロイター】
アイルランド、赤字抑制に必要な支出削減額の見通しを倍に引き上げ
2010年 10月 27日 09:54 JST
アイルランド政府は26日、今後4年間に財政赤字を抑制するために削減の必要がある支出額に関する見通しを、昨年発表した予算案で示した金額の倍に相当する150億ユーロ(209億ドル)に引き上げたことを明らかにした。

【ロイター】
NZ、経済予測を下方修正の公算=財務相
2010年 10月 27日 07:24 JST
ニュージーランド(NZ)のイングリッシュ財務相は27日、政府が12月14日に発表する最新の経済・財政見通しについて、経済予測を下方修正する可能性が高いとの見方を示した。

【ロイター】
自民が「財政健全化責任法案」で揺さぶり、民主内の乱れ狙う
2010年 10月 27日 06:35 JST

【ロイター】
緩和的な金融政策、バブルにつながらず=ポーゼン英中銀金融政策委員
2010年 10月 27日 04:41 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17846220101026

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