2011年1月30日日曜日

(1月26日)FOMC

FRBが金融政策を発表した。サプライズは無し。新しい年になり、FOMCで投票権を持つ地区連銀総裁の交代があり、国債買入れに対して異論を唱え、タカ派と見られていたフィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁とダラス地区連銀のフィッシャー総裁も。今回はバーナンキ議長の意見に賛成票を投じ、全会一致で金融政策の据え置きが決定されたようだ。その一方、水面下では、FRBのインフレターゲットについての議論も行われていたようだ。ただし、インフレターゲットは物価と雇用の2つの目標を追及するデュアル・マンデートに対し、物価面だけを強調することになりかねないという見方があるため、なかなか決定段階の俎上には上ってこないようだ。

【FOMC】
Release Date: January 26, 2011
For immediate release
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110126a.htm

バーナンキFRB議長


【ブルームバーグ】
FOMC声明:景気回復継続も、雇用の「著しい改善」には不十分
2011/01/27 04:56 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=aMEaSxK.4wGc
1月26日(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会 (FOMC)が26日に発表した声明は以下の通り。

Information received since the Federal Open Market Committee met in December confirms that the economic recovery is continuing, though at a rate that has been insufficient to bring about a significant improvement in labor market conditions. Growth in household spending picked up late last year, but remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. Business spending on equipment and software is rising, while investment in nonresidential structures is still weak. Employers remain reluctant to add to payrolls. The housing sector continues to be depressed. Although commodity prices have risen, longer-term inflation expectations have remained stable, and measures of underlying inflation have been trending downward. (12月の前回会合以降に入手した情報から、経済の回復は継続し ているものの、そのペースは労働市場の状況を著しく改善させるには 不十分であることが確認された。家計支出は昨年遅くに上向いたが、 高い失業と所得の伸び悩み、住宅資産の減少、厳格な信用条件によっ て依然抑制されている。企業による機器やソフトウエアへの投資は増 加しつつあるが、非住居用建造物への投資は引き続き弱い。雇用主は 雇用拡大に依然として消極的だ。住宅セクターは依然として抑制され ている。商品価格が上昇しているものの、長期におけるインフレ期待 はなお安定しており、基調的なインフレを示す指標の低下傾向は続いている。)

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. Currently, the unemployment rate is elevated, and measures of underlying inflation are somewhat low, relative to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run, with its dual mandate. Although the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability, progress toward its objectives has been disappointingly slow. (連邦準備法に定める責務に基づき、委員会は最大限の雇用確保と 物価安定の促進を追求する。現在のところ、失業率は高い水準にあり、 基調的なインフレを示す指標は、FRBの2つの責務に長期的に一致 していると委員会が考える水準に比べて、やや低い。物価安定という 流れの中で、資源活用が徐々に高い水準に戻ると委員会は想定してい るものの、残念ながらその目標に向けた進展は遅い。)

To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to continue expanding its holdings of securities as announced in November. In particular, the Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings and intends to purchase $600 billion of longer-term Treasury securities by the end of the second quarter of 2011. The Committee will regularly review the pace of its securities purchases and the overall size of the asset-purchase program in light of incoming information and will adjust the program as needed to best foster maximum employment and price stability. (経済回復ペースの加速を促し、インフレを責務に合致した水準に 維持していくため、委員会は11月に発表した証券保有の拡大を継続 することをこの日決定した。保有証券の償還元本を再投資する既存方 針を維持するほか、期間が長い米国債を2011年第2四半期末までに 6000億ドル購入する。委員会は入手する情報に鑑み、購入ペースと 資産購入プログラム全体の規模を定期的に見直し、最大限の雇用確保 と物価安定を最も促進できるよう必要に応じてプログラムを調整する。)

The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period. (委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0%から 0.25%のレンジで据え置き、低レベルでの資源活用とインフレ抑制 トレンド、安定したインフレ期待を含む経済状況が長期にわたって、 FF金利の異例な低水準を正当化する可能性が高いと引き続き想定し ている。)

The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to support the economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate. (委員会は今後も経済見通しと金融の動向を見守り、景気回復を支 援し時間をかけてインフレを責務と一致する水準に戻すため、必要に 応じて政策手段を講じる意向だ。)

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Richard W. Fisher; Narayana Kocherlakota; Charles I. Plosser; Sarah Bloom Raskin; Daniel K. Tarullo; Kevin M. Warsh; and Janet L. Yellen. (このFOMCの金融政策に対し、バーナンキ議長、ダドリー副議 長、ブラード総裁、デューク理事、エバンス総裁、フィッシャー総裁、 コチャラコタ総裁、プロッサー総裁、ラスキン理事、タルーロ理事、 ウォーシュ理事、イエレンFRB副議長が賛成した。)

【ウォールストリート・ジャーナル】
【コラム】FRBにインフレ目標設定の新たな圧力か
2011年 1月 24日 9:51 JST
http://jp.wsj.com/Economy/node_175215
連邦準備理事会(FRB)のメンバーらは昨年、バーナンキ議長に後押しされて、2%のインフレターゲットの採用を真剣に検討したが、コンセンサスが得られず、議論が立ち消えになった。だが、この問題は今年また浮上してくる可能性がある。

FRBは非公式に、目標は2%程度のインフレだとしている。しかし、数年間にわたる内部討議でも公式の目標を採択するには至っていない。

公式目標設定の支持者らは、これによって現在の金融緩和策は消費者物価の上昇スパイラルにつながるとの批判をかわし、一方でデフレ回避に向けたFRBの姿勢を強化できると述べている。しかし、インフレ目標が必要なのか懐疑的見方をする人は、これを設ければFRBは最大雇用という法的義務からそれることになるのではないかと危惧(きぐ)している。

FRBに入る前に強力な目標設定論者だったバーナンキ議長は、これに消極的なFRBの方向を変えようとしてきた。2009年1月に連邦公開市場委員会(FOMC)が長期的インフレ予想を出し始めた。基本的には長期インフレ目標で、予想は1.75~2%の範囲だ。

同議長は昨年10月15日の講演で、FRBは全般的に適切なインフレ率が約2%かこれをわずかに下回る水準と判断しているとし、インフレ率が約1%の現状では一段の緩和の余地があるとの見方を示した。

しかし関係者によると、その後のワシントンでの他のFRBメンバーらとの電話会見で、インフレ目標の議論はまたも泥沼にはまり込んでしまったという。

FRBにとっての一つの大きなハードルは法的立場だ。FRB法は「物価安定」と「最大雇用」を目標とすることを義務付けており、一部の当局者は、インフレ目標の設定はインフレ対策に重心を置き、失業対策にあまり力を入れていないと受け止められる可能性があるとしている。一部には、FRBの非公式目標はよく理解されているのだから、目標を設定する必要はないとの主張もある。


《ニュース備忘録》

【ロイター】
10年の中国不動産部門への新規融資額は2.02兆元=中国人民銀
2011年 01月 26日 19:51 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19213020110126

【ロイター】
1月英中銀政策委は利上げを検討、7対2で据え置き決定=議事録
2011年 01月 26日 19:42 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19213220110126

【ロイター】
エジプト反政府デモで、通貨が対米ドルで05年1月以来の安値に
2011年 01月 26日 18:40 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19212720110126

【ロイター】
米国務長官「ムバラク政権は安定」、エジプトに自制求める
2011年 01月 26日 16:58 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19210620110126

【ロイター】
米一般教書演説、緊縮財政約束するも具体策に踏み込まず
2011年 01月 26日 16:49 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19210420110126

【ロイター】
オバマ米大統領、一般教書演説で支出一部凍結を提案
2011年 01月 26日 13:00 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19206220110126

【ロイター】
米大統領一般教書演説の要旨
2011年 01月 26日 11:14 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19202220110126

【ロイター】
レバノン首相にヒズボラ系候補指名、各地で「怒り」のデモ
2011年 01月 26日 11:27 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19202620110126

【ロイター】
米大統領、一般教書演説で経済回復を強調へ=演説要旨
2011年 01月 26日 08:45 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19197920110125

【ロイター】
EFSF債に旺盛な需要、日本政府は20%超買い入れ
2011年 01月 26日 06:13 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19193720110125

【ロイター】
米大統領が提案の予算凍結、対象は非安全保障など一部=高官
2011年 01月 26日 06:09 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19194520110125

【ロイター】
アイルランドの銀行、貸倒損失額が膨らむ可能性=中銀総裁
2011年 01月 26日 05:00 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19194020110125

【ロイター】
ユーロ圏救済基金の規模拡大、現在も納得せず=独外相
2011年 01月 26日 04:46 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19193420110125

【ロイター】
EFSF5年債、アジア勢の買い目立つ
2011年 01月 26日 04:45 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-19193320110125

【ロイター】
EFSF5年債、需要は430億ユーロと発行額の約9倍
2011年 01月 26日 01:48 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19192920110125

【ロイター】
EU、レアアースなどの原料備蓄を計画=草案
2011年 01月 26日 01:04 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-19192720110125

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