2011年1月31日月曜日

(1月27日-2)S&Pが日本国債格下げ

1月27日にS&Pが日本国債の格下げを行った。日本の財政悪化は規定路線であり、特に格下げをされても「そうか」という感じでサプライズは無し。為替はちょっと円安に飛んだが、金利は特に反応せず。ここで問題となったのが、菅総理が囲み記者にか臭げについて質問されたときに「そういうことに疎いので」という一言が言葉狩りにあった。一国の首相が、それも債務問題が深刻化している日本で、「そういうことに疎いので」というのは如何なものかと。この発言には多少同情する(マスコミはあら捜ししているようにしか最近見えない。)

こういう、目的を持たずに批判のために「ちょっと批判する」という繰り返しが、無秩序化を招いている面が少なからずあると思う。もう少し、政権を批判するにしても本質的な所で批判してほしい。

【S&P】
日本のソブリン格付けを※「AA-」に格下げ、アウトルックは「安定的」
2011-01-27 16:51:00
http://www2.standardandpoors.com/portal/site/sp/jp/jp/page.article/1,0,0,0,1204864374577.html

格下げ
 新:  旧:
※AA- ※AA 外貨建て・自国通貨建て長期ソブリン格付け、長期優先債券(既発債)
アウトルック: 安定的 
据え置き
※A-1+ 外貨建て・自国通貨建て短期ソブリン格付け、短期債券

日本の財政赤字が今後数年にわたって高止まりし、それに伴い財政の柔軟性がさらに低下するとS&Pは予想する。
長期ソブリン格付けを※「AA」から※「AA-」に引き下げ、短期ソブリン格付けは※「A-1+」に据え置き。
高水準の対外純資産と金融面での柔軟性が、財政問題に起因する格付けへの下方圧力を一部相殺するとの見方から、長期ソブリン格付けのアウトルックは「安定的」。
(2011年1月27日、東京=S&P)スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「S&P」)は本日、日本の外貨建て・自国通貨建て長期ソブリン格付けを、※「AA」から※「AA-」に引き下げた。外貨建て・自国通貨建て短期ソブリン格付けは、※「A-1+」に据え置いた。長期ソブリン格付けのアウトルックは「安定的」である。長期優先債券格付けも※「AA」から※「AA-」に引き下げた。外国為替規制リスク評価(T&C評価)は引き続き「AAA」である。

格下げは、日本の政府債務比率がさらに悪化するとのS&Pの見方を反映している。日本の債務比率は既に格付け先ソブリンの中で最も高いレンジにあるが、さらに、S&Pが世界的な景気後退以前に予想していた水準を上回る水準まで上昇し、2020年代半ばまで下降に転じないとみている。なかでも、一般政府財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2010年度の概算値である9.1%から、2013年度には8.0%へと若干の低下にとどまると予想している。中期的には、大規模な財政再建策が実施されない限り、2020年より前に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡は達成できないと予測している。

長引くデフレも日本の債務問題をさらに深刻化させている。物価の下落は、1992年以降の日本のGDPの推移と一致しており、名目ベースで経済規模が同年以降変わっていないことを意味する。加えて、急速な高齢化が日本の財政・経済見通しを悪化させている。社会保障関連費は国の2011年予算案の31%を占めており、2004年度の社会保障制度改革を上回る規模の改革を実施しなければ、この比率は上昇する見通しである。生産年齢人口の高齢化と減少を踏まえ、S&Pでは日本の中期的な成長率を約1%と予測している。

民主党率いる連立与党が参議院選挙で過半数議席を確保できなかったこともあり、民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けているとS&Pは考えている。また、政府は2011年に社会保障制度と消費税率を含む税制の見直しを行うとしているが、これにより政府の支払い能力が大幅に改善する可能性は低いとS&Pは考えている。国債発行額の承認を含めた、2011年度予算案と関連法案が国会の承認を得られない可能性さえあるとS&Pはみている。したがって、国内には引き続き国債に対する強い需要があり、それに対応して超低金利環境が続いているものの、日本の財政の柔軟性はさらに低下するとS&Pは予想している。

とはいえ、日本のソブリン格付けは、高水準の対外純資産残高と比較的強固な金融システム、多様化された経済により「AA-」の水準で下支えされている。加えて、日本円は世界の主要準備通貨である。

日本の2010年末の対外純資産残高は、概算で経常取引受取額の254%と世界最大である。また、外貨・金の準備高は1兆ドルを超え、中国に次いで世界第2位である。加えて、金融部門と、企業部門と家計部門をあわせた非金融民間部門も対外純債権者である。経常黒字が続いていることから、対外純資産は今後数年さらに増加するとS&Pはみている。

厳しい財政状況と経済成長見通しの弱さを、高水準の対外純資産と円の国際通貨としての役割によってもたらされる柔軟性に照らし合わせて考慮し、アウトルックは「安定的」とした。2000年代前半のように政府が財政再建と成長見通しの改善に向けた施策を実行できれば、格上げを検討する。一方、S&Pが日本の財政見通しを再び引き下げた場合には、格付けへの下方圧力が再度強まるだろう。

【産経新聞】
国債格下げ 菅首相「そういうことに疎いので…」
2011.1.27 19:40
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110127/plc11012719420161-n1.htm
菅直人首相は27日夜、米格付け会社「スタンダード・アンド・プアーズ」が日本国債の長期格付けを「AA」から「AAマイナス」に引き下げたことについて「初めて聞いた。本会議から出てきたばかり。そういうことには疎いので、改めてにしてください」と回答を避けた。首相官邸で記者団の質問に答えた。一方、枝野幸男官房長官は同日夜の記者会見で、首相が「疎い」と発言したことに対し「首相がどういう趣旨でいったのか伺っていないので、コメントしようがない。国債の信任について首相は強く意識をしている」などと述べ、釈明に追われた。

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