2011年5月30日月曜日

(4月26日-2)欧州2010年財政実績

欧州統計局(Eurostat)が欧州地域の2010年までの財政状況の実績を公表した。詳細は以下の表にあるが、昨年10月に公表されたデータからの変更点として、今回は2010年の結果が新たに加えられている。2009年のデータについては1年以上も前の数値であるため、全体的に大きな変更や修正は無いが、ポルトガルについては財政赤字の対GDP比が-9.3%から-10.1%に、債務残高の対GDP比が76.1%から83.0%にやや大きく修正されている。

ポルトガルは金融支援要請以降、財政等のデータが精査されるにつれ、ギリシャ同様数値計上に問題が浮上したといえ、こういった状況は、結局、他の国も同じではとの疑心を生み出すリスクがある。

2010年については、全体的にそれなりの数字(アイルランドが銀行問題への対応で財政赤字が急拡大している)であるが、ギリシャについては昨年金融支援を要請し、財政再建に向けた取り組みを進める中で、2010年の財政赤字の対GDP比の目標を昨年11月の予算案発表段階では-9.4%としていた。(そもそも10月時点では-8%程度としていた)。しかし、これも達成できずに最終的には-10.5%の財政赤字となった。このような目標と実績の乖離や下方修正を見ていると、財政問題が発生している国の財政再建はかなりの困難が付きまとうと言える。

【Eurostat】
60/2011 - 26 April 2011
Provision of deficit and debt data for 2010 - first notification
Euro area and EU27 government deficit at 6.0% and 6.4% of GDP respectively
Government debt at 85.1% and 80.0%
http://epp.eurostat.ec.europa.eu/cache/ITY_PUBLIC/2-26042011-AP/EN/2-26042011-AP-EN.PDF


【ブルームバーグ】
ポルトガル:10年の財政赤字、対GDP比9.1%に修正-従来8.6%
2011/04/25 07:27 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aNUGJYqA5TRU
4月23日(ブルームバーグ):ポルトガルの2010年財政赤字は対国内総生産(GDP)比9.1%に修正された。政府が3つの幹線道路関連のコストを追加したため。国家統計局が23日に電子メールで配布した資料で明らかにした。

  国家統計局は3月、10年財政赤字の対GDP比8.6%と報告していた。政府目標は同7.3%だった。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が命じた会計処理変更により、ポルトガルは08年のバンコ・ポルトゲス・ジ・ネゴシオス救済で発生した損金と幹線道路に関連した費用のため10年の赤字額が20億ユーロ(約2390億円)余り増えた。

  ドスサントス財務相によると、こうした追加費用が発生しなければ、財政赤字は対GDP比で6.8%になっていたという。09年の財政赤字対GDP比も10%から10.1%に修正された。

【ロイター】
ポルトガル、2010年の財政赤字の対GDP比を拡大方向に修正
2011年 04月 25日 10:12 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-20782920110425
[リスボン 24日 ロイター] ポルトガルの国立統計院(INE)は23日夜、2010年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を9.1%に修正したことを明らかにした。INEは3月末に8.6%と発表していた。政府目標は7.3%だった。

 INEは、赤字のGDP比率修正について、3つの官民提携に関連したコストを追加したためとしている。
INEは、ポルトガルによる支援要請を受け、EU統計局とともに実施した会計処理の変更が10年の赤字のGDP比拡大につながったとしている。

 これにより、10年の債務のGDP比もこれまでの92.4%から93%に拡大した。10年の財政赤字のGDP比率拡大により、11年の目標4.6%の達成はより困難になる見通し。 

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