2011年5月28日土曜日

(4月7日-2)ECB約3年ぶりの利上げ

ECBが2008年7月以来2年9ヶ月ぶりとなる利上げを決定した。ユーロ圏はギリシャ、アイルランドに続き、今回のECB理事会前日にポルトガルが金融支援を要請することになったが、中央銀行としては財政問題ではなく、インフレに対応するため、政策金利を引き上げられることとなった。直後のトリシェ総裁の記者会見では、連続利上げに関する言質は与えられなかったが、米国よりも先に利上げサイクルが始まったことは、注意が必要だ。財政問題に苦しむユーロ圏周縁国の改善をにらみながら、度の程度利上げが実施されるのか、バランス感覚が試されることになる。また、次の利上げ実施によって、その先の利上げペースを市場が予想し始めることから、何回に1回のどれだけの幅の利上げなのかがポイントだろう。

中央銀行が最も注意を払わなければならない観察対象としてインフレの脅威が挙げられるが、資源価格の2次的影響というフレーズがキーワードになりつつあるかもしれない。

【ECB】ECBの政策金利の推移。
Key ECB interest rates
http://www.ecb.int/stats/monetary/rates/html/index.en.html

トリシェ総裁


【ECB】
7 April 2011 - Monetary policy decisions
http://www.ecb.int/press/pr/date/2011/html/pr110407.en.html
At today’s meeting the Governing Council of the ECB took the following monetary policy decisions:(本日、ECB理事会において、下記金融政策決定が採用された。)

The interest rate on the main refinancing operations of the Eurosystem will be increased by 25 basis points to 1.25%, starting from the operation to be settled on 13 April 2011.(ユーロシステムの主要リファイナンスオペ金利(政策金利)は2011年4月13日の執行オペから1.25%と、25ベーシスポイント引き上げられる。)

The interest rate on the marginal lending facility will be increased by 25 basis points to 2.00%, with effect from 13 April 2011.(限界貸出金利は25ベーシスポイント引き上げられ2.00%となり、2011年4月13日から実効となる。)

The interest rate on the deposit facility will be increased by 25 basis points to 0.50%, with effect from 13 April 2011. (預金ファシリティ金利は25ベーシスポイント引き上げられ0.5%となり、2011年4月13日から実効となる。)

【ロイター】
ECBがリファイナンス金利を1.25%に引き上げ、下限・上限金利も
2011年 04月 7日 21:11 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20492020110407
[フランクフルト 7日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は7日、主要政策金利であるリファイナンス金利を1.25%に25ベーシスポイント(bp)引き上げると発表した。引き締めは市場の予想通りだった。ECBの利上げは2008年7月以来。

【ロイター】
ECB理事会後のトリシェ総裁の発言要旨
2011年 04月 8日 00:45 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20493820110407

<物価見通し> 

中期的な物価見通しに対するリスクは引き続き上向き。インフレの二次的影響を回避することが「極めて重要」

<インフレの二次的影響>

二次的影響について、われわれは非常に警戒していることを明確に示している。二次的影響を容認しないというのがわれわれのメッセージであり、二次的影響の回避は絶対不可欠だ。

<原油高などによる二次的影響容認しない>

現在見受けられるような原油や商品(コモディティ)価格を起因とする衝撃が存在する状況では、二次的影響を回避することが非常に重要で、二次的影響を容認しないというのがわれわれの明確なメッセージだ。

 <コリドー(中銀預金金利と限界貸出金利の差)>

われわれはこれについて協議した。これ(150ベーシスポイント(bp)のコリドー)を維持、もしくは200(bp)に戻す案について、プラスとマイナスの両方を検討した。その上で現時点では、現在の水準を維持することが適切と判断した。今後、変更できるかどうか検討していく。

<利上げがアイルランドに悪影響を及ぼすかとの質問に対し>

インフレ期待の抑制において最大限の信頼性を維持することが、すべてのユーロ加盟国やパートナーの利益だ。ユーロ圏全体にとって、インフレ期待をしっかりと抑制することが利益であり、信頼性(の維持)にとっても利益である。これは現在問題を抱えている国を含むすべての加盟国への恩恵となる。

<日本の震災の影響>

無論、非常に大規模な影響が直ちに表れると予想している。以前(阪神・淡路大震災の際に)確認されたように、極めて広い地域で復興(事業)や投資が必要となる。

【ブルームバーグ】
ECB:約3年ぶり利上げ、トリシェ総裁は追加引き締めに含み (1)
2011/04/08 01:52 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aNQ7guS5vaN0
4月7日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は7日、ほぼ3年ぶりの利上げに踏み切った。トリシェ総裁は政策決定後の記者会見で、追加利上げの可能性に含みを持たせた。同総裁は、インフレリスクは引き続き上方向だとし、ECBの金融政策は依然として「緩和的だ」と言明した。ECBはこの日の政策委員会で0.25ポイントの利上げを決め、政策金利は過去最低の1%から1.25%に引き上げられた。

【WSJ】
低金利局面の終わりを告げるECBの利上げ
2011年 4月 8日 20:49 JST
http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_218817
ECBがFRBより先に動くのは珍しい。12年前にECBが設置されて以降、1990年代末と2000年代中ごろにおける過去2度の世界金融引き締めサイクルでは、FRBが先に動いた。

ECBは7日、インフレの芽を摘むことを明言して主要政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.25%とした。利上げは、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインにおける、ただでさえ圧倒的な債務負担をさらに増すことになるにもかかわらず、である。利上げは、ポルトガルがEUに緊急支援を要請した欧州3カ国目に正式になった日に決定された。ECBのトリシェ総裁は、ユーロ圏の弱体経済国を助けるためだけにECBが低金利を維持する考えのないことを明言し、「インフレ期待の抑制に向けて、(ECBへの)信認をできる限り維持することが、すべてのユーロ加盟国のためになる」と語った。 ユーロ圏の今年3月の消費者物価は前年同月の水準を2.6%上回った。これは2%弱というECBのインフレ目標を相当上回るものだ。

0 件のコメント: