4月19日は外交問題として原子力安全に関する首脳級会議が開かれた。東日本大震災以降、日本の原発問題がクローズアップされる中で、国際的な原子力関連の会議でも真剣な議論が行われている。1986年にチェルノブイリで引き起こされた大惨事から25年の時を経て、現地ウクライナの首都キエフで会議が開かれた。チェルノブイリ原発は、事故発生後の対応において、原子炉をコンクリートで覆い、「石棺」と呼ばれる封じ込めを行ったが、年月の経過とともに石棺が老朽化し、今回はその対応のための金融調達もかねていたようだ。
チェルノブイリもそうだが、日本の福島第1原発の事故も多くの人の心に深く刻まれることとなるだろう。チェルノブイリの例を見ても、その後の対応には長期間の年月を要している。放射能によって汚染された土地は、そう簡単に事故以前の状況に戻ることはできない。政府は、この汚染状況とその除去に向けて、迅速に対応する必要があるし、福島県の原発周辺住民は一刻も早い問題解決を望んでいる。唇を噛み切るほどの苦難が待ち受けるかもしれないが、日本はそれを乗り越えていかねばならない。
【外務省】
「安全で革新的な原子力エネルギー利用に関するキエフ・サミット」
(原子力サミット)(概要)
平成23年4月
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/kaigo/kyiv1104/gaiyo.html
1.経緯等
(1)4月19日午後、ウクライナの首都キエフにて本件サミットが開催された。約30カ国の首脳・政府代表のほか、国際原子力機関(IAEA)を含む国際機関の代表が出席。我が国からは、高橋千秋外務副大臣が出席。
(2)参加各国からステートメントが行われ、サミット終了時に、宣言文書が採択された。
【外務省】
宣言(仮訳)
平成23年4月19日
「安全で革新的な原子力エネルギーの利用に関するキエフ・サミット」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/kaigo/kyiv1104/state.html
我々,参加国の元首・政府・代表及び参加機関の代表は,将来チェルノブイリ事故のような事故の発生を防止し及び軽減するための我々の協同の能力を強化することを目的として,原子力安全分野において協働するとのコミットメントを再確認するために,チェルノブイリ25周年日の前日にキエフに参集した。
本日,我々は,チェルノブイリ原子力施設を廃炉にし,事故を起こした原子力施設を環境に配慮した安全なシステムに転換するために,G8及びその他の20カ国以上の国々並びにEU及び欧州開発銀行(EBRD)を含む国際協力の成果について議論した。我々は,原子力事故に対する解決策を提供するために協力する意思と能力を示した。チェルノブイリ・プレッジング会合では550百万ユーロが集められた。いくつかの国は拠出額を検討している。この資金は,損壊した4号炉を安全なものとするための最終段階の作業の完結を支援し,この原子力の遺産を協同で終結するための我々の能力を示すものである。
チェルノブイリ事故から学んだ教訓を踏まえて,我々は,原子力利用に関連する全ての活動において,安全措置の適用は引き続き最優先とされるべきであることを確信する。原子力安全の最高基準は,原子力の利用に欠かせない前提条件である。
福島第一原子力発電所で明らかになる事象は,原子力安全の重要性および大規模自然災害にて引き起こされる原子力事故と非常事態に迅速に対応することの重要性を我々に再認識させた。これらの事象は,国際社会がこれらの原子力事故における課題に協同で対応する時に,原子力安全が向上されることを示している。
【ウクライナ大統領のページ】(写真)
President takes part in Chornobyl Donors Conference. April 19, 2011
http://www.president.gov.ua/en/gallery/1780.html#30235
会議場の円卓
【朝日新聞】
チェルノブイリから25周年 キエフで各国首脳級会合
2011年4月19日16時36分
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104190260.html
旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原発事故から25周年となる26日を前に、各国首脳級の原子力安全サミットなど一連の国際会議が19日から首都キエフで開かれた。福島第一原発事故が進行中で、原発の安全性に改めて注目が集まるタイミングの開催となる。
約50カ国が参加。フランスのフィヨン首相、ロシアのメドベージェフ大統領ら首脳級が顔をそろえる。潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長や、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(ゆきや)事務局長も出席。日本からは高橋千秋外務副大臣が出席し、福島第一原発の現状や事故の経緯などについて報告する。
チェルノブイリ原発事故は1986年4月26日に発生。4号炉が制御不能となり、爆発。広範囲に放射性物質が飛散し、現在のウクライナ、ベラルーシ、ロシア3カ国にまたがって土壌を汚染した。原発から半径30キロ圏内では、現在でも居住などが禁止されている。
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