3月3日にギリシャが2回目となる財政再建策を取りまとめた。ギリシャは1月15日に「3ヵ年財政健全化計画」を提出したが、今回の「新経済財政政策」はこの追加策となる。EUと市場に後押しされ、再び財政健全化に向けた政策を取りまとめざるを得なくなった。
Announcement on new economic and fiscal measures
Athens, 3rd March 2010
http://www.mnec.gr/en/press_office/DeltiaTypou/dt/dt-2010-03-04.html
内容を見ると、今回の政策によって対GDP比2%、48億ユーロの財政健全化が達成されると言う。
The package includes permanent measures on both the revenue and expenditure sides of the budget, which together will contribute 2% of GDP, or 4.8 billion Euro. These measures are in addition to measures in the Stability Programme totalling 4% of GDP and measures recently announced by the Prime Minister totalling 0.5%. They signal the Greek Government?s determination to ensure a sustainable fiscal path and to restore confidence in the Greek economy.(このパッケージは歳入・歳出の財政の両サイドの対応を含んだもので、対GDP比で2%または48億ユーロの財政健全化に貢献する。これらの方策は(1月15日に発表された)健全化計画の4%と最近首相が発表した合計0.5%分の健全化施策に追加するものである。これらの発信はギリシャ政府が持続可能な財政経路を確かにするものであり、ギリシャ経済への信頼を回復するための決断である)
とのことで、具体的内容は3段階の付加価値税4.5%、9%、19%を5.0%、10%、21%への引き上げ(GDP比0.54%、13億ユーロの健全化)や物品税(ディーゼルガソリンを0.03ユーロ、ガソリンを0.08ユーロ引き上げ、タバコ税を63%から65%に引き上げ、酒税を20%、その他電気や奢侈品(自動車など))の引き上げ(GDP比0.46%、11億ユーロ)などが税収面でメニューとして盛り込まれている。
一方の歳出面では公的部門の賃金凍結などで、対GDP比0.7%、17億ユーロの歳出圧縮などが提示されている。
これだけのことをやっても、健全化は対GDP比で2%であり、2013年までに対GDP比で10%近く圧縮するというのは、かなり至難の業である。このような健全化策が3年連続で続けられるかと言うと非常に疑問だ。
その結果、ギリシャでは再びストライキが計画されているようだ。
【ロイター】
ギリシャ公共・民間最大労組が3月11日にスト実施へ、労働力人口の半分に相当
2010年 03月 6日 01:42 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-14210620100305
ギリシャ最大の公務員労組連合組織「ギリシャ公務員連合」(ADEDY)と同国最大の民間企業労組連合組織「ギリシャ労働総同盟」(GSEE)は5日、同国政府が新たな緊縮財政措置を決めたことに反発し、11日にストライキを行う方針を示した。両労働組合にはギリシャの労働力人口の半分に相当する約250万人が加盟している。
これこそ鼻血も出ないくらい(?まだ出血する?)の健全化策実施であり、こんな混乱状況で本当に税収が上がるのかどうか。更に後2年「追加」で続けることなど殆ど不可能に近いのではないか。
その一方で、救済者になり得るだろうドイツでは、自国の血税をギリシャに投入することに世論の反発が高まっており、「ギリシャの島を売れ」と言う議員が出る始末。反対に、ギリシャでは副首相が第2次世界大戦時のドイツの戦後補償が無いなどといった発言もあり、両国で商品のボイコット運動が起きるなど、混乱が広がっている。
【時事通信】
カネがないなら島を売れ=財政危機のギリシャに-独
2010/03/06-07:22
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010030600078
【読売新聞】
財政危機のギリシャ支援、独が慎重姿勢
2010年3月7日13時52分
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100307-OYT1T00220.htm
その他、IMFの支援に絡むフランスの政治問題(サルコジ大統領、IMFストロスカーン専務理事(フランス出身・次期大統領候補?)、トリシェECB総裁)もあるとの観測もあって、事態は複雑である。
まぁ厳しい。
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