2010年3月1日月曜日

(2月26日-2)国別米国証券保有残高(09年6月末)

米国財務省が年に1度発表される国別米国有価証券保有高を発表した。調査対象は2009年6月時点で、少し時期が古いものとなっている。

February 26, 2010
tg568
Preliminary Report On Foreign Holdings Of U.S. Securities At End-June 2009
http://www.ustreas.gov/press/releases/tg568.htm

保有額第1位は中国で1兆4630億ドル、第2位が日本で1兆270億ドルと、この2カ国が2強だ。続いて英国が8130億ドル。

細かい金額は、下記リンク先からfirst、second、third tableと書いてある青転した文字をクリックして見たらよい。国が多すぎて書ききれない。

【ニュースリリース】
PRELIMINARY REPORT ON
FOREIGN HOLDINGS OF U.S. SECURITIES
AT END-JUNE 2009
http://www.treas.gov/tic/shlprelim.html

ただし、毎月発表される米国財務省証券残高は、この年次統計の水準を基礎にして延長推計がなされている。数日前に、日本が保有する米国財務省証券残高が中国を抜き、再度1位になったとの報道があった。しかし、今回の結果をみると、推計のズレの大きさが影響しての1位であって、今回修正された結果は、再び日本は2位、中国が1位という結果である。

【財務省証券主要国別保有残高】
MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
HOLDINGS 1/ AT END OF PERIOD
http://www.treas.gov/tic/mfh.txt

この旧というのが2008年6月基準で、その後売買フローを元に延長された財務省証券保有残高。新が今回2009年を基準としたものである。2009年12月時点の保有残高第1位は中国の8948億ドル。去年の7月をピークに、その残高を減らしているようだ。一方の日本は7657億ドルの第2位。邦銀が、米国長短スプレッドの拡大を収益源とみなして投資を積み増している可能性が高いと言えよう。

やはり、特徴的なのは2009年6月の旧統計と新統計とのズレの著しい中国と英国だ。中国は旧統計と新統計との差が1394億ドル(約1.24兆円)もあり、旧集計では過小評価に見積もっていたようだが、英国はこの逆で1244億ドル(約1.11兆円)過大に見積もっていたようだ。この中国と英国とのやりくりは、良く中国居住投資家が英国を通じて投資を行っていることが、集計者にとって正確に統計を反映できない原因になっていると言える。

米国財務省証券保有国(09年12月残高基準上位6カ国)
10億ドル
09年 中国   日本   産油国  英国  ブラジル  香港
1月  739.6  634.8  186.6  123.9   133.5   71.7  ←旧
2月  744.2  661.9  181.8  129.0   130.8   76.3  ←旧
3月  767.9  686.7  192.0  128.1   126.6   78.9  ←旧
4月  763.5  685.9  189.6  152.7   126.0   80.9  ←旧
5月  801.5  677.2  192.9  163.7   127.1   93.2  ←旧
6月  776.4  711.2  191.2  213.4   139.8   99.8  ←旧
6月  915.8  708.2  211.8   89.0   148.5   95.7  ←新
7月  939.9  720.9  209.9   94.9   146.8  111.1  ←新
8月  936.5  727.5  209.8  101.9   146.0  120.5  ←新
9月  938.3  747.9  205.9  124.3   153.6  128.0  ←新
10月 938.3  742.9  209.0  105.7   164.9  137.8  ←新
11月 929.0  754.3  208.3  153.1   165.8  142.1  ←新
12月 894.8  765.7  207.4  178.0   169.3  148.7  ←新

今後、中国が米国財務省証券残高を減らしていくかどうか、その上で、真の意味で日本と中国との財務省証券保有残高の順位が逆転するかどうかが注目だ。そうなれば、米国はもう少し日本に目を掛けてくれるのだろうか。

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