2009年11月17日火曜日

(11月16日)日本のQ3GDP2四半期連続プラス

日本の7-9月期GDPが発表された。前期比+1.2%、年率換算で+4.8%。米国7-9月期の前期比年率+3.5%成長とくらべても、日本の伸び率の方が高かった。こういったことが好感されて、やや円高に進んだが、本当の実力ベースで見て日本がよいかというと、必ずしもそうではないだろう。過去の履歴を見ると、08年10-12月期が前期比年率-11.5%、09年1-3月期が同-12.2%下落したあと、4-6月期に同+2.7%とやや浮上したあとの数値であって、実質金額ベースでは去年の10-12月期の水準にも至っていない。

前期比寄与度  2008年               2009年
%         4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-3月期 4-6月期 7-9月期
実質GDP     -0.7    -1.7    -3.0     -3.2    0.7    1.2
  国内最終需要 -1.0   -0.8    -1.1     -1.9    -0.1    0.4
  海外需要    -0.4   -0.2    -2.7     -0.9    1.5   0.4
  在庫投資     0.7   -0.7    0.8     -0.4    -0.7    0.4
前期比 %
  民間最終消費 -0.9    0.0     -0.7      -1.1    1.0   0.7
  民間住宅投資 -0.4     4.3     3.3      -6.6   -10.2   -7.7
  民間企業設備 -0.9   -5.8     -7.0     -8.2    -4.2    1.6
  政府最終消費 -0.8   -0.1     1.3       0.1    -0.2    0.4
  公的固定資本 -4.8    0.7     2.5       3.1     7.7    -1.2
  輸出       -3.9    -1.9    -13.5      -21.6    6.4    6.4
  輸入       -1.9    -1.0     1.5      -14.0    -4.2    3.4

名目ベースで見れば、この7-9月期も前期比年率-0.3%と、6四半期連続のマイナス成長である。日本の名目GDPはザックリ500兆円と前から言われてきていたが、この09年7-9月期は480兆円と、500兆円に結構届いていない。

中身を見ると、住宅投資がマイナスで酷いままであるとか、設備投資が5四半期ぶりに若干のプラスに転じた(ただ、それまでの落ち込みが異様なまでに酷かったのだが)であるとか、公共投資が息切れしているとか、輸出が回復基調(実質ベースではだけど。。。)など、色々言えるのだが、このあたりは色々なところのレポートを参照したらよい。

今回のGDPの発表に伴い2つ政治的な話があって、一つ目は直嶋経産相が発表解禁以前にGDPの数値を石油連盟との懇談会で漏らしてしまったこと。これは様々なメディアやブログでかなり叩かれている。為替市場や海外市場で、統計結果の早期漏洩が大きく影響を及ぼす可能性だってあった。昔、GDPが夕方発表だったときに、発表時刻以前に日経新聞の夕刊に数値が記載されていて、それを見て市場が先に動いたといったエピソードもあったやに聞く。

今回は、直嶋経産相の漏洩が判明したのが、GDP発表後であったので市場への影響は殆ど無かったとはいえ、現政権はガバナンスが出来ているのか大いに疑問だと言う意見をまた一歩裏付ける結果となってしまった。

もう一つは、この結果を受けて、政府がデフレ宣言を行うという見方が強まっている。発表は11月20日の月例経済報告で言及するかどうかなどと言われているが、景気は少し前よりも回復していて、物価下落はもう既に起きていることにもかかわらず、何ゆえここでデフレ宣言なのかは勘繰りたくなるところである。

税収減に伴う国債増発による金利上昇を「デフレ宣言」によって中和しようという見方もできるし、自民党時代を放漫財政と位置づけて歳出削減を行う中で、補正予算を組むためには何らかの理由が要るために宣言すると言う見方もできる。日銀の金融緩和姿勢は変わらないが、CPや社債の買入終了といった技術的な非伝統的金融政策の縮小を牽制するためというのは、連立を組んでいる少数政党のアソコなら分からないでもないが、民主党政権にこの見方は考えすぎであろう。

デフレ宣言はするのは良いが、そのデフレの定義、デフレだからどうやってそのデフレから脱却するのかと言うシナリオに興味がある。

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APECで中国が為替への言及を声明文に盛り込むことを嫌ったと言う話は、中国の政治力の増大を感じる一方で、近隣窮乏策がどこまで続けられるか、国際社会、特に米国の次の出方が気になる。


《ニュース備忘録》

【ロイター】
直嶋経産相のGDP事前漏洩、うかつであり遺憾=鳩山首相
2009年 11月 16日 22:13 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12490020091116

【ロイター】
米国、中国の台頭を抑えることは望まず=オバマ大統領
2009年 11月 16日 17:43 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12487420091116

【ロイター】
日立が公募増資とCB発行を正式発表
2009年 11月 16日 15:00 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12483420091116

【ブルームバーグ】
政府:「デフレ」を宣言へ、11月の月例経済報告に記述も-日経
2009/11/16 14:07 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aAtXxNrJElTU

【ブルームバーグ】
中国は来年も金融緩和維持を、成長率8.5%へ-情報センター(Update1)
2009/11/16 13:48 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aY2h2wx4MSus

【ロイター】
2010年の中国成長率は約8.5%の見通し=国家情報センター
2009年 11月 16日 12:29 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12479820091116

【ロイター】
経産相がGDPの数字を事前に漏らす=経産省関係者
2009年 11月 16日 11:20 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12477520091116

【ブルームバーグ】
財政膨張で「日本リスク」―CDS・オプションが示す円売りマグマ
2009/11/16 09:44 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=akGNCDLarPV4

【ブルームバーグ】
英中小企業の資金調達、6月以降により困難に-BCC調査
2009/11/16 09:25 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920011&sid=aiE3qVQ9D3x4

【ロイター】
ブラジル、20年までに地球温暖化ガスを最大38.9%削減へ
2009年 11月 16日 08:57 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12473920091115

【ロイター】
米中が為替めぐり対立、APEC首脳宣言から言及削除
2009年 11月 16日 08:28 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12473420091115

【ブルームバーグ】
APEC首脳宣言:持続的な景気回復まで景気刺激策維持(Update1)
2009/11/15 16:50 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920011&sid=aR32YxOwmYHw

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