OECDが経済見通しを発表した。各国GDP成長率見通しは以下の通り。(主要国のみ抜粋)。OECD加盟先進国の2010年経済成長見通しは前年比+1.9%。そのうち、米国が+2.5%と比較的大きく回復し、日本が+1.8%と平均並み。しかし、ユーロ圏が+0.9%と伸び悩む格好になっている。そのユーロ圏でも、ドイツやフランスが+1.4%とそこそこ健闘するのだが、住宅バブルが破裂したスペインが-0.3%、アイルランドが‐2.3%と足を引っ張るようだ。
Recovery still too timid to halt rising unemployment, says OECD Economic Outlook
19/11/2009
http://www.oecd.org/document/9/0,3343,en_2649_34109_44083593_1_1_1_37443,00.html
GDP成長率見通し
07年 08年 09年 10年 11年
OECD 2.7 0.6 -3.5 1.9 2.5
米国 2.1 0.4 -2.5 2.5 2.8
カナダ 2.5 0.4 -2.7 2.0 3.0
英国 2.6 0.6 -4.7 1.2 2.2
ユーロ圏13カ国 2.7 0.5 -4.0 0.9 1.7
ドイツ 2.6 1.0 -4.9 1.4 1.9
フランス 2.3 0.3 -2.3 1.4 1.7
イタリア 1.5 -1.0 -4.8 1.1 1.5
ギリシャ 4.5 2.0 -1.1 -0.7 1.6
アイスランド 5.6 1.3 -7.0 -2.1 2.6
日本 2.3 -0.7 -5.3 1.8 2.0
豪州 4.2 2.3 0.8 2.4 3.5
ニュージーランド 2.9 -1.1 -0.7 1.5 2.7
韓国 5.1 2.2 0.1 4.4 4.2
中国 13.0 9.0 8.3 10.2 9.3
インド 9.1 6.1 6.1 7.3 7.6
インドネシア 6.3 6.1 4.5 5.3 5.6
ブラジル 5.6 5.1 0.0 4.8 4.5
ロシア 8.1 5.6 -8.7 4.9 4.2
メキシコ 3.3 1.4 -8.0 2.7 3.9
南アフリカ 5.1 3.1 -2.2 2.7 4.5
トルコ 4.7 0.9 -6.5 3.7 4.6
一方で、2010年の新興国経済を見ると、中国の+10.2%成長が目を引くし、インドの+7.3%も高成長と言える。アジアではこれらの国の経済発展の恩恵を受けて、インドネシアが+5.3%、韓国が+4.4%の成長予想となっている。ブラジル、ロシアも5%弱の成長を期待できる。この様に、2010年は新興国経済の年ということが透けて見えるような予想になっている。
それ以上に、今回のOECDの見通しでは、財政収支に関する分析が厚く行われている。これは、先日のG20で出口戦略に関して「我々は、我々の評価において、IMFと世界銀行の分析や、必要に応じ、FSB、OECD、MDBs、ILO、WTO及びUNCTADを含む他の国際機関からのインプットによる支援を受ける。」と宣言されており、「2010年1月末までに、我々の国及び地域の政策枠組み、計画及び予測を提示する。」との提言の第1弾であると言える。OECDが存在感を示すためにまず網羅的な発表を行ったと言えよう。
20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)
[2009年11月6-7日 於:英国・セントアンドリュース]
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/g20_211108.htm
様々なデータが並んでいて見ていて面白いのだが、これらを全て記録するとなるとレポートが書けてしまう分量なので、そのあたりは省略して、財政赤字の対GDP比だけ見てみる。
一般政府財政赤字対GDP比
07年 08年 09年 10年 11年
OECD -1.3 -3.5 -8.2 -8.3 -7.6
米国 -2.8 -6.5 -11.2 -10.7 -9.4
カナダ 1.6 0.1 -4.8 -5.2 -4.5
英国 -2.7 -5.3 -12.6 -13.3 -12.5
ユーロ圏13カ国 -0.6 -2.0 -6.1 -6.7 -6.2
ドイツ 0.2 0.0 -3.2 -5.3 -4.6
フランス -2.7 -3.4 -8.2 -8.6 -8.0
イタリア -1.5 -2.7 -5.5 -5.4 -5.1
ギリシャ -4.0 -7.8 -12.7 -9.8 -10.0
アイスランド 5.4 -13.6 -15.7 -10.1 -5.8
日本 -2.5 -2.7 -7.4 -8.2 -9.4
豪州 1.8 1.0 -4.0 -3.5 -2.6
ニュージーランド 5.0 3.1 -1.2 -3.3 -3.9
韓国 4.7 3.3 -1.8 0.4 1.1
中国 2.0 1.1 -1.8 -0.9 -0.3
インド -4.2 -8.8 -10.1 -9.0 -8.1
インドネシア -1.2 -0.1 -1.8 -1.1 -0.9
ブラジル -2.8 -2.0 -3.5 -1.7 -1.8
ロシア 6.0 4.1 -6.0 -4.4 -2.0
南アフリカ 1.8 -1.0 -7.3 -5.3 -3.5
(ロシアは中央政府)
2010年の一般政府財政赤字はOECDが-8.3%だが、その足を引っ張っている大きなところは米国の‐10.7%、英国の‐13.3%が2桁に乗っており、日本は‐8.2%。フローだけ考えれば、日本はまだマシということで財政赤字を為替の材料と見なせば、最近の円高は1年の財政収支動向を反映したものとも言えなくも無い。他にも、フランスが‐8.6%、ギリシャが‐9.8%などと、日本と比べて悪いところがある。
その他、新興国の財政収支を見ると、中国は堅調だがインドの財政赤字は意外と大きい。確か、インドのシン首相は金融危機克服後は拡張的な財政政策を引き上げるというような感じのことを言っていたような気がする。その他、南アフリカやロシアの赤字もやや大きい。
《ニュース備忘録》
【ロイター】
アジアが景気回復を先導、失業や政府債務が回復の阻害要因に=OECD
2009年 11月 19日 21:24 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12557220091119
【ブルームバーグ】
英銀大手の住宅ローン承認件数、今年最高の6万1000件に増加-中銀
2009/11/19 19:26 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920011&sid=a6e7mRutwjaE
【ロイター】
白川日銀総裁とはうまくいっている=藤井財務相
2009年 11月 19日 18:21 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12555720091119
【ロイター】
政府が日銀審議委員に宮尾・神戸大教授を提示、水野委員の後任
2009年 11月 19日 13:52 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12549020091119
【ロイター】
SFなど米加州自治体、商業不動産市場の低迷で税収減
2009年 11月 19日 12:59 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12546320091119
【ロイター】
EU、1229億ユーロの2010年予算案で合意
2009年 11月 19日 10:37 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12541620091119
【ロイター】
失業率が低下し始めるまで英国のリセッションは終了しない=英金融政策委
2009年 11月 19日 09:12 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12538920091119
【ロイター】
焦点:三菱UFJ増資で注目される三井住友とみずほ
2009年 11月 19日 09:09 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12539020091119
【ロイター】
財政赤字を今後4年で半減、銀行家への報酬制限へ=英政府
2009年 11月 19日 02:11 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12536120091118
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