2009年11月29日日曜日

(11月28日)円高の苦悩

中東UAEの債務問題を契機に、急激な円高が進んでいる。ここ連日の為替レートの推移を見ると、

           円/ドル             対ユーロ  対ポンド  対豪ドル
            始値  高値  安値  終値
2009年11月10日 89.96 90.17 89.66 89.84   134.60   150.33   83.57
2009年11月11日 89.81 90.03 89.26 89.82  134.56   148.80   83.54
2009年11月12日 89.83 90.61 89.62 90.38   134.14   149.90   83.38
2009年11月13日 90.34 90.41 89.44 89.71   133.79   149.72   83.73
2009年11月16日 89.53 89.71 88.73 89.11   133.40   149.94   83.49
2009年11月17日 89.09 89.53 88.71 89.32   132.79   150.17   83.13
2009年11月18日 89.24 89.48 88.98 89.37   133.72   149.62   83.06
2009年11月19日 89.32 89.43 88.61 89.00   132.75   148.27   81.85
2009年11月20日 88.97 89.13 88.65 88.91   132.11   146.76   81.39
2009年11月24日 88.98 89.06 88.33 88.56   132.49   146.76   81.35
2009年11月25日 88.54 88.64 87.19 87.30   132.16   145.91   81.32
2009年11月26日 87.36 87.48 86.27 86.48   129.81   142.77   78.94
2009年11月27日 86.55 87.01 84.81 86.41   129.31   142.27  78.35

となっており、27日には一時約14年ぶりの1ドル84円台を記録した。マスコミのニュースを見ていると、通貨当局がレートチェックをしているとのコメントも見られるが、結局は実弾介入できず。米欧金融当局との合意が出来ていないことが見透かされている。足下の急激な通貨上昇は円だけの話であって、自国経済の回復を願う欧米がここで円高是正を助けるメリットは少ない。国際協調を演じてG7か何かで声明文を発表したとしても、その紙切れにどんなおまじないの効果があるのだろうか。(少なくとも無いよりはマシ程度なのか。)

藤井財務大臣は「一方的な偏った動きで異常、過度な円高は害の方が大きいことは間違いない」と言っておきながら、「もう少し様子をみたい」と述べるなど(????)な状況。為替はこのような政府当局の足下を見透かして更なる円高を仕掛けてくる可能性はある。こんな土壇場に来ていつまで我慢できるのか。

この日、午前中に1ドル84円まで急激に上昇したが、その後10時ごろになると1ドル86円近くまで戻った。日経の記事を参照すると、介入警戒感に加え「10時前の中値決済について「ややドル不足だった」との観測が出たことも円売り・ドル買いにつながった。」ということで、外銀筋からの輸入業者のドル買いと見られる需給が為替を押し戻した部分もあるようだ。

外為10時 円、86円台前半に上げ幅縮小 介入への警戒感で

http://markets.nikkei.co.jp/kawase/summary.aspx?id=ASS0IMF03%2027112009
これで、日本の政府当局に火がついてくれれば良いのだが、どうも藤井財務大臣は過去の発言を見ていると、円安ドライブによる輸出主導型の日本経済を否定する余り、円高放置バイアスがかかっているような気がしてしまう。日本の製造業にとっては外からも内からも攻め立てられており、苦しい展開が続きそうだ。


《ニュース備忘録》

【ロイター】
UAE銀行の格付け・見通し、現時点で変更せず=ムーディーズ
2009年 11月 28日 09:08 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12674520091128

【ロイター】
UAE向けエクスポージャーは英銀が最大
2009年 11月 28日 05:03 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12673620091127
UAEの銀行協会による2008年末時点の推計では、英HSBCホールディングスの融資額が175億ドル。6月末時点の半期業績報告では159億ドルに縮小。HSBCに続き融資額が多かった外国銀行はスタンダード・チャータード(スタンチャート)で、78億ドル。バークレイズ36億ドル、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)22億ドル。米金融機関としてはシティグループ19億ドル。欧州大陸の金融機関ではフランスBNPパリバ17億ドル。

【ロイター】
G7、ドバイの債務返済延期計画めぐる問題を協議=加財務相
2009年 11月 28日 04:54 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12673520091127

【ロイター】
ブラックフライデー迎え休日商戦スタート、前年比でまずまずとの予想も
2009年 11月 28日 03:42 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12673120091127

【ロイター】
欧州委員長が新体制発表、経済・通貨問題担当にレーン委員
2009年 11月 28日 03:35 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12673220091127

【ブルームバーグ】
ドバイ・ワールド融資幹事、RBSが最大手-UAE向けはHSBC
2009/11/28 01:55 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=ab7AUZnjaJyU

【ブルームバーグ】
米政府はドバイ情勢を注意深く監視している-財務省当局者
2009/11/28 03:48 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aB2oqkPRzEj4

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