米国FOMCが開かれ、金融政策が発表された。政策金利は当然変更無しであったが、事前から政策の微調整という触れ込みで、MBSの償還は市場からの資金吸収要因になるため、その償還金見合いで再度市場から資産を購入するだろうという見通しが広がっていた。
【FRB】
Release Date: August 10, 2010
For immediate release
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100810a.htm
【ロイター】
UPDATE1: 米FOMC声明全文
2010年 08月 11日 05:02 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT870800220100810
結果、その通りのことが行われたのだが、特徴的なのは以下に示すとおり、エージェンシーとMBSの償還資金を同じものの購入に充てるのではなく、財務省証券を購入するということである。
To help support the economic recovery in a context of price stability, the Committee will keep constant the Federal Reserve's holdings of securities at their current level by reinvesting principal payments from agency debt and agency mortgage-backed securities in longer-term Treasury securities. The Committee will continue to roll over the Federal Reserve's holdings of Treasury securities as they mature. (物価が安定する状況の中での景気回復を支援するため、FOMCは政府機関債とモーゲージ担保証券(MBS)の償還資金を期間が長めの米国債に再投資することにより、証券保有を現在の水準に維持する。償還を迎える米国債のロールオーバーも継続する。)
NY連銀のホームページを見ると、早速その実務指針が発表されている。
【Federal Reserve Bank of New York】
Statement Regarding Reinvestment of Principal Payments on Agency Debt and Agency MBS
August 10, 2010
http://www.newyorkfed.org/markets/opolicy/operating_policy_100810.html
【Federal Reserve Bank of New York】
FAQs: Reinvestment of Principal Payments on Agency Debt and Agency Mortgage-Backed Securities in Treasuries Effective August 10, 2010
http://www.newyorkfed.org/markets/agency_agencymbs_faq.html
【ロイター】
情報BOX:米FRBの新たな国債投資計画
2010年 08月 11日 09:09 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-16721620100811
SOMA (System Open Market Account) holdings of domestic securities totaled about $2.054 trillion as of August 4, 2010, and this policy will ensure that these holdings remain near this level.(公開市場制度勘定には2010年8月4日時点で2兆540億ドル相当の国内証券を保有しており、この新たな金融政策はこの保有額水準を維持することである。)
The Desk will concentrate purchases in the 2- to 10-year sectors of the nominal Treasury curve, although purchases will occur across the nominal Treasury and TIPS yield curves. The Desk will refrain from purchasing securities:(取引では2年から10年ものの名目国債(通常の利付国債)と、物価連動債を対称にする。また、我々は以下の証券についての買入を)
* trading with heightened scarcity value in the repo market for specific collateral, (レポ市場でスペシャル・コラテラルとなっている証券(オペレーションの担保として差し出す証券が需給逼迫によって希少価値の高まっているもの))
* maturing within five weeks, (5週間以内に償還するもの)
* that are cheapest to deliver into the front-month Treasury futures contracts, and (国債先物の直近限月でチーペストとなっている証券(先物が取引満期を迎えて現物引渡し決済が行われるときに、現物を引き渡す側が最も有利になる証券。取引需要が高い。))
* that the SOMA already holds in an amount that is, or is very near, 35 percent of the outstanding supply. (公開市場制度勘定が既にその債券の総残高比で35%近くを保有しているもの)
そして、8月11日に当面1か月分の買入計画が発表された。
【Federal Reserve Bank of New York】
Tentative Outright Treasury Operation Schedule
http://www.newyorkfed.org/markets/tot_operation_schedule.html
上記リンク先の一番上の表を見ると、当面1ヶ月(2010年8月17日~9月13日の入札)の入札金額は180億ドルと記されている。この影響度を考えると、8月17日~9月13日の入札額は2年債が360億ドル×1、3年債が330億ドル×1、5年債が360億ドル×1、7年債が280億ドル×1、10年債が名目利付債で210億ドル、物価連動債で100億ドルそれぞれ1回、30年債が名目利付債が130億ドル、物価連動債が70億ドルでそれぞれ1回、合計8回の1年超の国債入札で、1840億ドルの資金調達がある。同期間の中で、442億ドルの国債償還があるため、純資金調達学は1399億ドルになる。
このような市場環境のうち、FRB(NY連銀)が180億ドル国債を購入してくれるということは、12.9%(=180/1399)の市場での存在感となる。これは、国債需給にとって見るとかなりの買い手の出現となる。NY連銀は2年~10年国債の購入を行うと言うことであるから、この期間の国債利回りには大きな低下圧力となるだろう。
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