2月3日は、欧州委員会がギリシャの財政問題に対して、引き続き経過観察すると発表。欧州連合の執行機関である欧州委員会が、ギリシャが発表した2012年末までに財政赤字の対GDP比3%以下への引き下げを支持した。
Greece: EU excessive deficit procedureRecommendations adopted for correcting Greece’s budget deficit and improving the competitiveness of its economy
http://ec.europa.eu/news/economy/100203_2_en.htm
この文章を見ると、
Recommendations adopted for correcting Greece’s budget deficit and improving the competitiveness of its economy.(ギリシャの財政赤字の修正と、同国経済の競争力の改善に対する勧告)
The commission endorsed Greece’s plan for slashing its double-digit budget deficit, announcing its verdict a day after the country promised more action.(委員会はギリシャの(対GDP比で)2ケタ台に上昇した財政赤字に対する対応と、同国が更なる行動を約束した翌日に発表したその答申を承認した。)
The commission also launched infringement proceedings against Greece for sending false debt data. The country finished 2009 with a budget shortfall close to 13% of gross domestic product, far more than it had predicted.(委員会は更にギリシャに対して、間違った債務データを提出したことに対する違反訴訟手続きに着手することを発表した。同国は2009年の財政赤字が対GDP比で13%近くに至り、それは事前の予想よりもはるかに大きかった。)
Worries about Greece's finances have put pressure on the euro and raised fears of a debt crisis that could impact the whole 16-nation eurozone.(ギリシャのファイナンス問題はユーロに対する圧力になり、ユーロ加盟16カ国全体に影響を与えうる債務危機の懸念を起こしている。)
と。そして、「The commission fully supports Greece in this difficult task.(委員会はギリシャのこの難しい問題に対して完全に支持する)」と述べている。
取り合えず、ギリシャはEU委員会から言質を得られたことを良しとするだろう。
出された計画の数値については、
Commission assesses Stability Programme of Greece; makes recommendations to correct the excessive budget deficit, improve competitiveness through structural reforms and provide reliable statistics
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/10/116
(%) 08年 09年 10年 11年 12年 13年
GDP成長率 2.0 -1.2 -0.3 1.5 1.9 2.5
消費者物価上昇率 4.2 1.2 1.4 1.9 1.8 1.8
GDPギャップ 2.5 -0.5 -2.6 -2.7 -2.1 -1.2
対GDP比財政指標(%)
一般政府歳入 40.6 39.3 42.4 44.0 45.4 45.7
一般政府歳出 48.3 52.0 51.1 49.6 48.2 47.7
一般政府財政収支 -7.7 -12.7 -8.7 -5.6 -2.8 -2.0
プライマリーバランス -3.2 -7.7 -3.5 -0.2 2.6 3.2
政府総債務残高 99.2 113.4 120.4 120.6 117.7 113.4
となっている。2012年までに一般政府の財政収支を-2.8%の赤字まで押さえ込むことが目標と示されているが、2010年から2011年にかけての一般政府歳入で対GDP比39.3%から42.4%へと3%近くの歳入増を計画している。実質成長率がマイナスの中で、このような歳入拡大はかなりの痛みを伴うことになりかねず、いくらギリシャがいい加減な国で徴税強化をすれば歳入が増えるだろうとは言っても、これは凄い。反対に歳出は52.0%から51.1%への低下で、0.9%しか削減できないとの見立てだ。この計画をみると、実現可能かどうかはかなりの疑問点が浮上してくることになるだろう。
2月10日にはギリシャで公務員などによるストライキが予定されている。また、24日にはゼネストが予定されている。3月半ばには財政収支について追加報告を行う必要に迫られており、短期的には様々な混乱が起きるだろう。
【NHKニュースの抜粋】
http://www.nhk.or.jp/news/k10015457701000.html
「パパンドレウ首相は、社会保障費の10%削減のほか、公務員の人数やボーナスのカットなど新たな財政再建策を打ち出しました。これに対し、国民に負担を強いるものだとして世論の反発は強まる一方で、4日、税務署の職員たちがストライキを行ったほか、60万人の組合員を持つギリシャ最大の労働組合は、大規模なゼネストを今月24日に実施する方針を示しました。」
【安定成長協定の説明】
Stability and Growth Pact
http://ec.europa.eu/economy_finance/sgp/index_en.htm
【各国の安定成長協定実現に向けた取り組み等】
Country-specific procedures
http://ec.europa.eu/economy_finance/sgp/deficit/countries/index_en.htm
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備忘録として、3日に東京地検特捜部が小沢民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、同氏を不起訴処分とする方針を固めたようだ。この動きを受けて、幹事長は続投の見通しとなり、米国訪問などの政治日程を組み始めているようだ(5月の大型連休中が有力とされている)。小沢氏の元秘書で衆議院議員の石川氏の同問題における拘置期限が2月4日であることからの日程的な動きがあって、東京地検は2010年2月4日、小沢氏の秘書だった石川知裕衆院議員ら3人を政治資金規正法違反の罪で起訴した。政治と金の問題、検察の情報リーク疑惑など、さまざまなハレーションを引き起こした同問題であるが、結局は政治不信を増幅してしまった感がある。内閣支持率は低下。
《ニュース備忘録》
【ロイター】
欧州委、日韓半導体メーカーなどに異議告知書を送付へ=関係筋
2010年 02月 3日 21:56 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13701120100203
【ロイター】
中国国家主席、成長モデル転換に向け一段の取り組み求める
2010年 02月 3日 21:23 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13700320100203
【ロイター】
オバマ米大統領、中小企業雇用促進計画を発表
2010年 02月 3日 13:52 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13691320100203
【ロイター】
将来のために財政赤字の削減必要、強いドル確信=財務長官
2010年 02月 3日 07:24 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13681420100202
【ロイター】
ボルカー氏、米議会証言で大手銀のリスク取引抑制促す意向
2010年 02月 3日 04:47 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13680220100202
【ロイター】
米財務長官、財政赤字問題で超党派による取り組み要請
2010年 02月 3日 04:13 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13679220100202
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