FRBが公定歩合の引き上げを決定した。以前、バーナンキFRB議長は出口戦略に関する議会証言で、流動性の吸収を講じると言っていたが、その第1段階を実行したと言えよう。
Federal Reserve approves modifications to the terms of its discount window lending programs
Release Date: February 18, 2010
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100218a.htm
文章を見ると金融オペレーションにからむ実務的なスケジュールに関することが並んでいる。自分で訳すのが面倒なので、ブルームバーグの訳を借りる。ポイントは、この公定歩合(discount rate:連銀窓口貸出金利)の引き上げが、金融政策スタンスの引き締めへの変更を意味していないと年を押して述べてあるところだろう。それだけ、利上げ期待の早期醸成を、FRBは総意として持っているということだろう。一部のFRB高官は、様々な講演機会で引き締めに舵を切るべきだと発言しているが、それは大勢にはなっていない。
ポイントは、声明文の中に書き込まれている低金利を「for an extended period(長期間)」据え置くとのこの文言で、この文言がある限り、半年は利上げができないのではないかと言う時間軸効果を持っていると言える。逆に言えばこの文言が取れた瞬間から、市場は利上げを織り込み始めるだろう。
この発表を受けて、ドル円相場は1ドル=91円台後半まで駆け上がった。やっぱり、米国の利上げ期待は、ドル高に作用する。ただし、今回はその神通力は長く持たなかった。
【ブルームバーグ】
FRB:公定歩合引き上げ、窓口貸し出し期間短縮-声明全文(Update1
2010/02/19 15:26 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=aYvKymG5r9tE
(以下コピペ)
「FRBは18日、金融市場情勢が引き続き改善していることを考慮し、公定歩合による窓口貸し出しプログラムの条件に幾つか修正を加えることを全会一致で承認したと発表した。
今月初めに幾つかの緊急融資プログラムを終了させた措置と同様に、これらの変更はFRBの融資制度の一段の正常化を意図したものだ。今回の修正は家計と企業にとって金融状況の引き締めにつながらない見込みで、経済と金融政策の見通し変更を示唆するものではない。金融政策の見通しは、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)から変わっていない。同会合は、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の0-0.25%に据え置くとともに、経済情勢はFF金利を長期にわたり異例の低水準に維持することを正当化する公算が大きいと予想されるとの見解を示した。
FRBの銀行向け窓口貸し出しの変更点は、公定歩合を現行の0.5%から0.75%に引き上げるよう求める12地区連銀の要請をFRBが承認したことを含む。これは19日から実施する。
またFRBは、窓口貸し出しの通常の最長期間を3月18日付で翌日に短縮すると発表した。同貸し出しは、連銀から全面的な担保付きベースで、概して健全な状態にある預金取扱機関に予備の資金源として提供される。最後に、FRBはターム・オークション・ファシリティー(TAF)の最低入札金利を0.25ポイント引き上げ、0.5%としたことを発表した。TAFの最後の入札は2010年3月8日に行われる。
窓口貸し出しの条件緩和は、金融危機へのFRBの最初の対応の1つだった。07年8月17日、FRBはFF金利に対する公定歩合のスプレッドを1ポイントから0.5ポイントに縮小し、通常の最長期間を翌日から30日に延長した。07年12月12日、FRBは預金取扱機関のターム物資金調達へのアクセスを一層改善するため、TAFを創設した。08年3月16日、FRBはFF金利に対する公定歩合のスプレッドを0.25ポイントに縮小し、窓口貸し出しの最長期間を90日に延長した。
その後、大口の資金調達市場の状況改善に対応し、FRBは09年6月25日にTAF入札の規模の段階的縮小を開始。09年11月17日発表、10年1月14日実施でFRBは窓口貸し出しの期間の正常化プロセスを開始し、最長貸出期間を28日に短縮した。
18日発表の公定歩合引き上げで、公定歩合とFF金利誘導目標(0-0.25%)の上限とのスプレッドは0.5ポイントに拡大した。スプレッドの拡大と最長貸出期間の短縮により、預金取扱機関が短期信用の資金調達を民間市場に依存し、FRBの窓口貸し出し制度を予備的な利用にとどめることを促すだろう。FRBは0.5ポイントのスプレッドの経験を考慮しながら、スプレッドをさらに拡大させるのが適切かどうか時間をかけて評価していく。 」
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