2010年2月28日日曜日

(2月23日)米四半期銀行報告

米国連邦預金保険公社が四半期銀行報告を発表した。問題のある金融機関は702行となった。金融機関の保有資産の劣化、特に不動産関連の中でも商業不動産の不良資産化が、不動産価格の下落によって引き起こされているようだ。1992年以来の問題行の水準であるが、1992年は金融機関の数自体が1万3853行あった。当時の問題行の比率は7.7%(=1066/13853)で、2009年の8.8%はそれよりも悪く、1991年の水準(9.9%)に次ぐ悪化となっている。

Quarterly Banking Profile
Fourth Quarter 2009
February 23, 2010
http://www2.fdic.gov/qbp/2009dec/qbp.pdf

   金融機関数
年         商業銀行  貯蓄機関  問題機関
      数      数      数      数    %  10億ドル
1990  15,158   12,343   2,815    1,496  9.9    647
1991  14,482   11,921   2,561    1,430  9.9    837
1992  13,853   11,463   2,390    1,066  7.7    601
1993  13,221   10,959   2,262     575  4.3    348
1994  12,604   10,452   2,152     318  2.5    73
1995  11,971    9,941   2,030     193  1.6    31
1996  11,454    9,528   1,926     117  1.0    12
1997  10,923    9,143   1,780     92  0.8     6
1998  10,464    8,774   1,690     84  0.8    11
1999  10,222    8,580   1,642     79  0.8    10
2000  9,904    8,315   1,589     94  0.9    24
2001   9,614   8,080   1,534    114  1.2    40
2002   9,354   7,888   1,466    136  1.5    39
2003   9,181   7,770   1,411    116  1.3    30
2004   8,976   7,631   1,345    80  0.9    28
2005   8,833   7,526   1,307    52  0.6     7
2006   8,680   7,401   1,279    50  0.6     8
2007   8,534   7,283   1,251    76  0.9     22
2008   8,305   7,085   1,220   252  3.0    159
2009   8,012   6,839   1,173   702  8.8    403

(%は問題行の数を金融機関の総数で割ったもの。金額は、問題行の保有資産の合計。)

1990年代はその前の80年代に発生したS&L(貯蓄投資組合)危機によって金融機関がバタバタと倒産するような状況の影響で、現在と同じように不動産投機が問題を引き起こした状況であった。商業用不動産価格は反転上昇にはまだまだ遠く、FRBも議事要旨など様々なところで商業用不動産価格の下落が大きな問題であることを指摘している。

2009年の金融機関の収益状況を見ると、以下の通り。2008年と比べ、信用不安が抑えられている結果、信用リスク・プレミアムに支払う金利(クレジットスプレッド)が抑えられたことで、金利費用が大分抑えられたようだ。ただし、ローンやリースにおける損失、いわゆる不良債権処理費用が増加したことによって、最終的な純損益は125億ドルにとどまった。2010年は徐々に景気回復が強まると考えられるが、米国銀行業がどれだけ収益を増やすことができるかが、本当の米国の出口への必要条件だと思う。

100万ドル            09年   08年
(1) 金利収入        541,180  603,301
(2) 金利費用        145,372  245,576
(3) 金利収支        395,808  357,725 =(1)-(2)
(4) ローンやリースの損失 247,683  176,196
(5) 非金利収入       260,532  207,709
(6) 非金利支出       384,563  368,310
(7) 証券損益         -1,443   -15,438
(8) 所得税           5,521    6,299
(9) その他純収支      -3,803    5,358
(10) 純損益          12,527   4,550
=(3)-(4)+(5)-(6)+(7)-(8)+(9)

(11) 貸倒償却        186,821  100,357
(12) 配当金          47,162   51,088
(13) 内部留保         -34,635  -46,539
=(10)-(12)


《ニュース備忘録》

【ロイター】
英格付けの変更リスクない、必要なら量的緩和再開=中銀総裁
2010年 02月 23日 21:46 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14025920100223
「格付け会社が懸念しているとは思わない。格付け会社が、英国の格付けを見直しているとは思わない。そのようなことがあれば、驚愕だ」

【ロイター】
安全問題に全力で取り組むよう豊田社長に求める─米運輸長官=議会証言原稿
2010年 02月 23日 21:37 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14025720100223

【ロイター】
トヨタ米販売子会社の社長が謝罪=議会証言原稿
2010年 02月 23日 21:25 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14025820100223

【ブルームバーグ】
全銀協:政府関与残るゆうちょ銀の業務拡大に強い懸念を表明-意見書
2010/02/23 19:05 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=a2VZmKm_Y5Wc

【ロイター】
焦点:米大統領の医療保険改革が正念場、25日に超党派会合
2010年 02月 23日 14:50 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14021520100223

【ブルームバーグ】
米政府のトヨタ調査の裏に政治的動機-一部に行き過ぎ懸念(Update1)
2010/02/23 14:34 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=ael3W2bGK_nY

【ブルームバーグ】
ゴールドマン幹部:ギリシャのスワップ契約は適切、EU指導も仰ぐ
2010/02/23 11:11 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aZ5PJdgtcrB4

【ロイター】
ギリシャ救済しても規模は報道より少額に=ECB専務理事
2010年 02月 23日 07:16 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14009620100222

【ロイター】
米大統領の医療保険改革新提案、保険適用拡充など盛り込む
2010年 02月 23日 05:07 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14007420100222

【ロイター】
米FRB、公定歩合の一段の引き上げ必要ない可能性=SF地区連銀総裁
2010年 02月 23日 04:44 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14008020100222

【ロイター】
欧州委、ユーロ圏によるギリシャ救済計画報道を否定
2010年 02月 23日 01:19 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14007020100222

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