2010年10月24日日曜日

(10月8日)追加補正5.1兆円

日本政府が円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策~新成長戦略実現に向けたステップ2~を閣議決定した。実際に真水と呼ばれる国費、財政予算が付いていて、GDPなどに効果のあるところは5.1兆円となる。


「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」について
平成22年10月8日 閣議決定
http://www.kantei.go.jp/jp/keizaitaisaku2010/keizaitaisaku_step2.pdf

兆円                                国費  事業費
1 雇用・人材育成                         0.3    0.3
2 新成長戦略の推進・加速                   0.4    1.3
3 子育て、医療・介護・福祉等の強化による安心の確保  1.1    1.4
4 地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等      3.1    17.8
   <地方交付税特会への繰入を除けば>        <1.8>   <16.5>
5 規制・制度改革                          -     -
合計                                4.9     20.8
   <地方交付税特会への繰入を除けば>        <3.6>   <19.5>
 公共事業の契約の前倒し                  0.2     0.25
再計                                5.1     21.1
   <地方交付税特会への繰入を除けば>        <3.8>   <19.8>
9月24日に、経済危機対応・地域活性化予備費9,179億円の使用を閣議決定済み。

この冒頭のステップ2というのにも理由があって、以下の様にステップ1は9月24日に閣議決定された1兆円弱の補正予算分で、今回2回目の発表はその5倍以上の予算手当てをした補正となる。今後第3ステップとして来年の本予算、税制の議論になり、継ぎ目の無い予算執行、財政運営になるというのだが、個人的には尖閣諸島問題で日本が外交的敗北を喫してしまったマイナス点を埋め合わせるために大きな数字を出してぶつけて来たとしか思えない。

『「ステップ1」として、急速な円高、デフレ状況に対して、即効性のある雇用対策や特に需要・雇用創出効果の高い施策に重点を置き、平成22年度経済危機対応・地域活性化予備費(9,179億円)を活用した緊急的な対応策を実行に移したところである。同対策では、これに続く形で、「ステップ2」として、景気・雇用動向を踏まえ、必要に応じ、補正予算の編成等、機動的・弾力的な対応を行い、さらに「ステップ3」として予算や税制等、平成23年度における新成長戦略の本格実施を図ることにより、デフレ脱却と雇用を起点とした経済成長の実現を目指すこととしている。

本経済対策は、この「3段構え」のステップ2を実施するものである。』

最大3.1兆円が支出される地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等の項目を見ると、耐震化、防災対策、地デジ対策推進(低所得世帯への地デジチューナーの無償配布の対象の拡大)、デジタルコンテンツの利用促進(国立国会図書館所蔵資料のデジタル・アーカイブ化及び書籍等のデジタル化の推進に係る事業の前倒し等)、口蹄疫対策、沖縄農業振興(沖縄県及び鹿児島県の南西諸島におけるさとうきび・国内産糖製造業の効率的な生産・製造基盤を確立するための支援)、森林・林業再生の推進等(花粉飛散の抑制にも配慮)、観光地における電気自動車等の導入を支援、観光地における電線地中化、地方交付税の増額、国土ミッシングリンクの解消、国際コンテナ戦略港湾のハブ機能の強化、首都圏空港の強化、中小企業資金繰り支援、などなど、様々なものがある。

ただ、項目別に見ても、耐震化やデジタルコンテンツ、口蹄疫対策、森林再整備とかは、はっきり言って成長戦略ではない。一般会計予算を使って、通常の施策として淡々とこなすべきである。成長のための片鱗を覗かせるものは、ハブ機能の強化や首都圏空港の強化、技術開発及び海外展開支援(は余りにも抽象的過ぎて変な支出にならないかが逆に不安だが)、情報収集衛星の体制整備などの部分くらいだろうか。硫黄島からの遺骨帰還の推進整備までがこの経済対策としての補正予算に組み込まれてしまっていて、これこそ補正予算などではなく、本予算にしっかり予算枠を確保して推進すべき項目である。

全く意味不明だ。

補正予算だからといって、何でもかんでも突っ込んで良いというものではない。彼方此方から集まってきたものを全てホチキス止めして提出してしまうと、本来の「経済対策」としての大儀が薄れてしまい、何が目的なのか分からなくなる気がする。

《ニュース備忘録》

【ロイター】
「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」について
平成22年10月8日 閣議決定
http://www.kantei.go.jp/jp/keizaitaisaku2010/keizaitaisaku_step2.pdf

【ロイター】
国内投資家だけが国債を保有する時代ではない=官房長官
2010年 10月 8日 17:43 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17595720101008

【ロイター】
政策手段乏しいFRB、インフレターゲット導入検討も
2010年 10月 8日 17:24 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17595120101008
米連邦準備理事会(FRB)の低インフレに対する政策に手詰まり感が出るなか、複数の当局者はインフレターゲット導入による効果を検討し始めている。

【ロイター】
IMF、為替戦争回避に向けイニシアチブ公表へ=独紙
2010年 10月 8日 16:43 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17594320101008

【ロイター】
世界の中央銀行、11年は金を買い越す見通し=WGC
2010年 10月 8日 13:32 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17589320101008

【ロイター】
緊急総合経済対策、国費5.05兆円・事業規模21.1兆円
2010年 10月 8日 12:58 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17587820101008

【ロイター】
為替相場の過度な変動は看過できない=菅首相
2010年 10月 8日 11:53 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17586120101008

【ロイター】
国債発行はしない=経済対策財源で海江田経済財政相
2010年 10月 8日 10:34 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17582820101008

【ロイター】
米政府、中国の為替めぐる対応を注視=ホワイトハウス報道官
2010年 10月 8日 05:10 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17577220101007

【ロイター】
英中銀が政策金利据え置き、資産買い入れ規模も維持
2010年 10月 8日 00:03 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17573620101007

0 件のコメント: