2010年1月11日月曜日

(1月7日-2)菅新財務大臣の為替相場感

体調不良(?)を訴えた藤井財務大臣に代わり、菅直人氏が財務大臣に就任した。就任時の記者会見で為替に言及している。以下、記者会見の概要からその部分を抜粋するとこの通り。

菅副総理兼財務大臣兼経済財政政策担当大臣記者会見の概要
(平成22年1月7日(木曜日))
http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_my20100105.htm

問)  為替のことについてお伺いしたいんですが、前任の藤井大臣は自国の通貨が強いということについては好ましいことであるというお考えをお持ちでしたが、菅大臣は円が強いということについては、どういうお考えをお持ちになっていますでしょうか。

答)  為替については、そういう質問にあまりうかつに答えると、とんでもないことになるということを私もよく知っておりますので、本当なら答えない方がよいのだと思いますが、少なくともこの間私が経済財政担当大臣として言ったり取り組んできたことで言えば、やはりある時期、円が非常に高くなって、経済界からすれば、やはり出来れば90円台半ばあたりが貿易の関係で適切ではないかという見方が多いわけですから、そういう意味で、まさに為替というものが日本経済に与える色々な影響を考えながら、適切な水準になるように、これは日銀との連携も含めて、その事態、事態に対応して努力をしなければならないと。現状は比較的一時の、いわゆるドバイショックの頃に比べれば円安の方向にかなり是正されておりますので、もう少し是正が進めばよいなと、円安の方向に進めばよいなと、こんなふうに思っております。

・・・と、菅大臣は一応為替について深く言及することが良くないことは承知と前置きをした後、「経済界が考えている為替水準」ということで90円台半ばという数字に言及している。唯一、自分の意思表示として言及した部分は方向性であって、最後の「もう少し是正が進めばよいなと、円安の方向に進めばよいなと、こんなふうに思っております。」との円安方向が好ましいとの言葉であった。この前後の脈略を排除して「90円台半ば」という言葉を独り歩きさせ、更には為替に言及すべきでないと批判しているマスコミは意味不明だ。

確かに、為替介入の権限を持つ財務大臣が為替に言及するのは好ましくないというのが、先進国の通貨当局者の間の紳士協定のような暗黙知になっているが、これまで藤井財務大臣の時に「円高誘導」だとか何とか言って経済に悪影響を与えていると叩いていたマスコミは何なのだろうか。円高によって苦しんでいる経済界や産業界はハッピーだし、中国の様に恣意的に為替相場を操作するようなことをやっている訳ではなく、これまでの藤井財務大臣の期間にやや行き過ぎた感のある相場に少し言及した程度と勘弁してもらっても良い程度の発言だと思う。

過剰反応しすぎというか、何でも批判すれば良いというのはマスコミの悪い癖だ。高支持率の後、「言葉狩り」を始めて支持率が急落した安倍政権を思い出す。政策が悪いなら「この部分が悪い」と論点をはっきりさせて議論すればよいし、今起きている政治資金問題も、何処そこが悪いとすれば良いのだが。政治の民度を下げているのは、政治家だけではなくマスコミにも責任があるのではないだろうか。マスコミ自身、為替相場はどうあるべきと考えているのだろうか。非常に疑問だ。

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