2010年1月31日日曜日

(1月28日-2)一般教書演説

オバマ大統領の一般教書演説が1月28日に行われた。

January 27, 2010
Remarks by the President in State of the Union Address
9:11 P.M. EST
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-state-union-address



当日の読売新聞には事細かにその発言内容が訳されていたが、ネットでは入手不可能なので、毎日新聞のネット文章を個人利用目的として消えないうちにコピペしておこう。

特に気になった点は、ウォール街に対する批判が名指しで載せられている点で、「Some are frustrated; some are angry. They don't understand why it seems like bad behavior on Wall Street is rewarded, but hard work on Main Street isn't; or why Washington has been unable or unwilling to solve any of our problems. They're tired of the partisanship and the shouting and the pettiness. They know we can't afford it. Not now. 」(いらだつ人も怒る人も居る。なぜウォール街の悪しき振る舞いに報酬が与えられ、メインストリートで勤勉に働いている人に対してではないのか。なぜ、ワシントン政府は我々の問題を解決できず、解決しようとしないのか。彼らは党派心や叫び、狭量に疲れている。彼らは我々が出来ないことを知って居るのだが、それは今ではない。)

日本語に直訳すると最後の方は意味不明だが、この段落ではマサチューセッツ州の選挙敗北以降、急激にウォール街叩きに旋回したオバマ節をまじまじと強めていることが示されている。
その他に気になったフレーズは

「年末までに150万人の職を増やす道筋の上にいる『And we're on track to add another one and a half million jobs to this total by the end of the year.』」、
「雇用は2010年の最重要課題『That is why jobs must be our number-one focus in 2010』」、
「我々は米国が2番手になることを受け入れない『I do not accept second place for the United States of America.』」

であろうか。その他、クリーンエネルギーなどにも言及しているが、医療保険改革の順位はやや落ちて、雇用とウォール街叩きの地位が上がった感じがする。

【毎日新聞】
米一般教書演説:オバマ大統領演説(詳報)
毎日新聞 2010年1月29日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/world/news/20100129ddm007030101000c.html

■経済・内政

 ◇私たちはあきらめない 大統領に就任した1年前、米国は二つの戦争、厳しい景気後退、崩壊目前の金融システム、大きな財政赤字に直面していた。嵐は過ぎ去ろうとしているが、後遺症が残る。失業、倒産、住宅価格の下落。小さい町や地方の町が直撃された。

 それでも、こうした困難にめげず、私たちは強さを保つことができた。私たちはあきらめない。そして今こそ、米国民の良識と力にふさわしい政府を実現する時が来た。私たちがいかに力を合わせ、その約束を実現するかについて、今夜は話したい。まずは経済だ。

 就任時の緊急の課題は経済危機をもたらした当事者である金融機関を救うことだった。私は前政権が取り組んだ救済策を支持した。その結果、市場は安定し金融機関に投入した資金もほぼ回収した。

 その他の金融機関を助けるために、大手金融機関には「責任料」を課すことを決めた。

 ◇雇用が最重要課題 再び経済が成長し、雇用を維持し、失業者を助ける手も打った。

 失業者1800万人以上に対し失業手当を延長または増額した。解雇された人を対象とした医療保険制度の負担を65%安くした。

 景気後退から2年、経済は再び回復し始めて、企業は再投資や徐々にではあるが再雇用を始めている。雇用は今年の最大の焦点だ。

 過去2年間で失った700万人分の雇用を穴埋めできていない。完全な雇用を実現する唯一の方法は長期的な経済成長のための新たな基礎を構築することだ。雇用回復を伴わない景気拡大という「失われた10年」を容認することはできない。

 まずは財政改革だ。強く健全な金融市場は新たな雇用の創出を可能にするのだ。

 次に、技術革新を促進する必要がある。エネルギー分野ほど実りある分野はない。安全でクリーンな次世代の原発を建設し、バイオ燃料やクリーンな石炭技術に投資し続ける。

 第三に、より多くの我々の製品を輸出する必要がある。次の5年間で輸出を2倍にし、米国で200万の雇用を支援する新たな目標を定める。

 第四に人々の技術や教育に投資する必要がある。学生の成績を上げるような改革にだけ投資する。最も優れた反貧困政策は、世界レベルの教育だ。

 ◇医療保険改革から逃げない 医療保険では多くの米国人に保険を提供できる目標にかつてないほど近づいた。提案は保険会社から市民を守り、無保険者に支払い可能な医療保険を選ぶチャンスを提供する。次の20年間に1兆ドルの財政赤字を減らすといわれるが、国民により明確に説明してこなかった責めを私も負う。

 私が演説を終えるまでに、さらに多くの国民が医療保険を失う。赤字は増え、保険料は上がる。患者は必要な治療を拒否される。私はこのような目に遭う米国人を見捨てないし、あなた方も見捨ててはいけない。改革から逃れてはいけない。

 私が就任した時点で年間1兆ドル以上の財政赤字があり、次の10年で8兆ドル以上になる見通しだった。昨年、経済を救うために生じた1兆ドルの赤字をまかなう具体策を今夜、約束する。

 2011年から国家安全保障や医療保険、年金以外の政府支出を3年間凍結する用意がある。石油企業や投資銀行経営者への減税は継続しない。超党派の予算委員会の設置を提案した。上院が同委設置法案を阻止したため大統領令で設置する。

 市民への投資を減らし、富裕層への減税を拡大し、規制緩和し、医療保険を放置すれば赤字がなくなるという主張もある。それが(ブッシュ前政権の)8年間に行われたことで、我々を危機に導く要因になった。

 ◇政治への信頼回復 新しいことに挑戦しよう。負債の山を残さずに市民に投資しよう。そのためには(政治への)信頼が「赤字」に陥っていることを認識しなければならない。ワシントンへの深く厳しい疑念だ。不信の溝を埋めるため、ホワイトハウスと連邦議会が協力し、過大なロビイストの影響力をそぎ、情報を公開し、価値ある政府を市民に提供しなければならない。ロビイストと政権・議会とのすべての接触を公開すべきだ。

 国民は、毎日が投票日のようなワシントン(の政治)にいらだっている。我々は「永遠の選挙戦」を続けることはできない。今年は(中間)選挙の年だ。だが、我々は統治しなければならない。(上院で民主党が安定多数を失ったため)共和党が議事妨害をしようというのなら、統治する責任は共和党側にもある。すべてに反対するのは指導力ではない。米国民に我々が共闘できることを示そう。

 ■外交とテロ対策

 ◇核なき世界求める 私は就任した日から我が国を脅かすテロリスト対策に焦点を合わせてきた。昨年クリスマスの(米航空機爆破未遂)攻撃で明らかになった欠点を正している。我々は(テロ容疑者の)拷問を禁止し、太平洋から南アジア、アラビア半島にいたるまでパートナー関係を強化した。昨年、アルカイダの戦士ら数百人が捕捉・殺害され、08年を大きく上回った。

 アフガンでは、我々は軍を増派しており、アフガン治安部隊を訓練し、11年7月までに彼らが(治安の)主導権の掌握開始をできるようにする。イラクからすべての戦闘部隊を今年8月末までに撤退させる。イラク戦争は終わりつつあり、すべての米兵は帰還する。

 米国人にとって最大の危険であるだろう核兵器の脅威とも取り組んでいる。私は核兵器の拡散を食い止め核兵器なき世界を探ろうとしたケネディ、レーガン両元大統領のビジョンを受け入れてきた。抑止力を維持しつつ、核兵器と(ミサイルなどの)運搬手段を減らすため、米露は(昨年12月に失効した第1次戦略兵器削減条約の後継となる新しい核軍縮)条約の交渉を終えようとしている。4月に開く核安全保障サミットには、世界の核物質を4年以内に安全な管理下に置くという目標を持つ44カ国が結集する。これが実現すれば、核物質がテロリストの手に落ちるという事態が起きることはない。

 こうした外交的努力は、核兵器に関する国際的合意を破ろうとする国々と交渉する我々の立場を強くする。だから、北朝鮮はいま、孤立の度合いを強め、より強力な制裁に直面しているのだ。だから、国際社会は結束を強め、イランは孤立の度合いを強めている。そして、イランの指導者たちが自分たちの義務を無視し続けるならば、重大な結果に直面することになる。

 これが、すべての人々に繁栄と安全をもたらすリーダーシップというものだ。我々は、G20(主要20カ国・地域)とともに世界経済の回復を持続させようとしている。我々は、科学や教育を発展させ、技術革新を進めるため世界中のイスラム教徒コミュニティーと協力する。我々は、気候変動との戦いで傍観者から先導者へと歩を進めた。そして、バイオテロや感染症への対応をより迅速かつ効果的に行えるようにする新たな取り組みを始めようとしている。

 米国は常に自由と、人間としての尊厳の側に立たねばならない。国内外における米国の強さの最大の源泉は、我々の掲げる理想だ。

 ◇チェンジ簡単でない 私は、大統領選で変革を訴えてきた。だが、多くの米国人はいま、本当に我々が変われるのか確信できずにいる。少なくとも、私が革新をもたらすことができるのかについて。

 しかし、私は、変革が簡単だとか、私だけで成し遂げられるとは言っていない。私の政権は今年、いくつかの政治的後退を余儀なくされた。それにもかかわらず、私を歩み続けさせ、戦い続けさせるものは、米国人にとって根本的な良識でありこれまで続けてきた決断と楽観の精神だ。

 その精神は、隣人とともに不況に苦しみながらも「私たちは強い。回復する力を持っている。私たちは米国人だ」と語る女性の中に生きている。その精神は、ハイチの人々へ渡してほしいと私に小遣いを送ってきたルイジアナ州に住む8歳の少年の中に生きている。

 我々は困難な1年を乗り切った。我々の前に新たな10年が広がる。我々は、あきらめない。私は、あきらめない。新たなスタートを切り、夢を前進させ、我々の団結をいま一度強めるため、このチャンスをつかもう。

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いちおう、この日日本では第2次補正予算案が成立しているのだが、あまり新しいネタもない。

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