2010年7月19日月曜日

(7月15日-3)米金融規制改革法案議会通過

米国で、金融危機移行の懸案事項であった金融規制改革法案が可決した。ホワイトハウスのブログを見ると、オバマ大統領がこの法案可決に伴って演説を行っている。金融規制改革法案は7月21日に大統領署名が行われる見通し。この様な議会での成果にも関わらず、オバマ大統領の支持率が低下している。今では支持と不支持が均衡している状況になっている。今後の議会運営や、支持率回復に向けてオバマ大統領がどのような行動に出るかは、注意が必要かもしれない。中間選挙が11月2日に迫っている。

ギャロップ社の政権支持率推移

(http://www.gallup.com/poll/113980/Gallup-Daily-Obama-Job-Approval.aspx)

【White House】
President Obama on Final Passage of Wall Street Reform: An End to Bailouts, a Beginning for Accountability
Posted by Jesse Lee on July 15, 2010 at 06:25 PM EDT
http://www.whitehouse.gov/blog/2010/07/15/president-obama-final-passage-wall-street-reform-end-bailouts-a-beginning-accountabi




【ロイター】
米上院が金融規制改革法案を可決、オバマ大統領は来週にも署名
2010年 07月 16日 10:06 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16315320100716

米上院本会議は15日、金融規制改革法案を60対39の賛成多数で可決した。法案はオバマ大統領に送付され、大統領の署名を経て成立する。

【ウォールストリートジャーナル】
米金融規制改革法案の概要
2010年 7月 16日 17:27 JST
http://jp.wsj.com/US/node_83075
米議員は金融規制改革法案の最終的な内容で合意した。金融規制の抜本的な見直しは、1930年代以来となる。

政府権限が拡大

接収・清算権限: 破綻(はたん)すれば広範囲に打撃を及ぼし得る、経営危機に陥った金融機関の経営権掌握、もしくは解体の権限を連邦規制当局に与える。連邦預金保険公社(FDIC)が実行する破綻処理策を当局は策定する。財務省は前払いコストに充てるための資金を提供し得るが、政府は返済計画の策定が必要。規制当局は資産500億ドル超を保有する金融機関に対する手数料を算定することで、損失を埋め合わせ得る。

金融安定化監督評議会: 金融の安定を脅かすリスクを監視・対処するための10人編成の金融安定化監督評議会を設立する。金融システムに脅威を及ぼすと判断される大規模、かつ複雑な業務を行う金融機関に、より厳格な規則を適用するよう、連邦準備理事会(FRB)に推奨が可能。究極的なケースでは、評議会が金融機関を解体する権限を持つ場合がある。

FRB: 金融危機時にFRBが実施した緊急融資について、1度限りの監査を認める。FRBは銀行に対する融資の詳細を、2年の遅延をもって開示し得る。12地区連銀の総裁選任時の銀行の役割を排除する。また、FRBの緊急時の融資権限も制限する。

監督面の変更: 貯蓄機関監督庁(OTS)を廃止し、通貨監督庁(OCC)が役割を継承する。
大手金融機関の監督強化

ボルカー・ルール: 大手金融機関の自己勘定取引を概して禁止する。資本の3%以下でのヘッジファンドやプライベートエクイティ・ファンドへの投資は可能。

デリバティブ: 店頭デリバティブ市場に対する包括的規制を初めて設ける。デリバティブ商品の取引や、デリバティブ商品を販売する企業も規制の対象となる。多くの通常のデリバティブについては取引所、あるいは類似する電子プラットフォームでの取引と、クリアリングハウスでの清算を求める。

 カスタマイズされたスワップについては引き続き、店頭市場での取引が容認される可能性があるが、規制当局が取引を把握できるよう、中央管理機関への報告が義務付けられる見通しだ。デリバティブを扱う企業に対しては、資本、マージン、報告、記録の保管、事業慣行などに関する新たな規則が適用される可能性がある。

デリバティブ事業の分離: 銀行に対し、リスクの最も大きいデリバティブ取引事業のみ、別会社に委譲することを容認する見通し。

銀行資本: 大手銀行持ち株会社のトラスト型優先証券の使用を禁じるなど、より厳格な資本規制を導入する。

TARPの終了: 7000億ドルの不良資産救済プログラム(TARP)の早期終了により、新規制導入に伴うコストの不足を賄う。TARPの残りの資金を用いて財務省が新規プログラムを実施することを禁じる。
銀行口座・クレジットカードを保有する消費者への影響

消費者金融保護局: FRBに消費者金融保護局を新設。住宅ローンなどに関する規制に関して権限を持つ。資産100億ドル超の銀行とクレジット・ユニオン、またノンバンクなどが監督の対象だが、自動車ディーラーは除外される。

先取特権: 複数の州で業務を行う銀行に対し、連邦政府の基準よりも厳格な消費者保護法の適用を州政府に認める。消費者金融保護局が策定する一部規則を施行する権限を州司法長官に与える。
預金保険: 銀行と貯蓄金融機関、クレジット・ユニオンに対する預金保険の上限を25万ドルとし、2008年1月1日にさかのぼって実施する。

住宅ローン: 住宅ローンの貸し手は、借り手の収入、信用履歴、職業の属性などを調べ、借り手にローンを返済能力があることを確認することを初めて求められる。

投資家の保護

投資アドバイス:投資アドバイスを与えるブローカー・ディーラーの資格基準を引き上げる権限を証券取引委員会(SEC)に与える。

証券化: 証券化業務を行う銀行に対し、クレジットリスクの5%を自行のバランスシートに残すよう求める。一定の最低基準を満たすリスクの低い住宅ローンは対象外となる見通し。

信用格付け会社: 利害相反に対処するよう設計された準政府機関の設立などで、格付け業界の改革を狙う。SECはこの種の機関の設立に向けた調査を行う。格付け会社の過失に対する投資家の訴訟を容認する。格付け会社に罰金を科す権限を持つ監督部局をSECに設立する。さらにSECに対し、長期間に正当とみなされない格付けを多数行った企業の登録を抹消する権限を付与する。

企業統治: 上場企業の株主に対し、幹部報酬や「ゴールデン・パラシュート(敵対的買収の標的にされた会社の経営陣が経営の座を譲り渡す代わりに多額の割増退職金を受け取る取り決め)」に対する拘束力を持たない投票権を与える。

ヘッジファンド: ヘッジファンドとプライベートエクイティ・ファンドにSECへの投資アドバイザーとしての登録を求める。また、規制当局によるシステミックリスクの監視に協力するべく、取引情報の提供を求める。

保険:財務省に保険業界を監督するための連邦保険局を創設する。どの保険会社をシステムに大きな影響を及ぼし得る会社として扱うべきかを同局が決定する。

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