2009年3月13日金曜日

(3月11日)ISバランスの行方

バーナンキFRB議長が外交問題評議会の講演で米国の巨額経常赤字の原因として、世界の貯蓄余剰を指摘したとの報道があった。通貨は価値の保蔵手段であり、貯蓄余剰と言うことは、将来の消費に対する現在の消費の価値が「相対的に」後退していることを意味する。


世界的な景気動向を見ると、生産の急減、雇用情勢の悪化を受けて、家計の消費性向の低下が透けて見える。これまで米国では景気が好調であったことから、家計の消費性向は高かった。いわゆる、借金して物を買うという風潮が広く深く浸透していたと言える。一方、急激な富の蓄積が叶った新興国ではその余剰貯蓄の用途が限定されていた。貯蓄余剰は国境を越えて動くことが可能だ。


今、米国では連邦政府債務を賄う巨額の債券発行に対する購入者を、世界から広く募集している状況だと言える。他方、企業の在庫調整は進展してはいるが、生産調整の一環としての雇用情勢の悪化は変わらない。その結果、収入が毀損した家計は、現在の消費を抑えて貯蓄率を高める方向に進んでいる。


これまで、米国が過剰消費国であったことから、このような雇用情勢の悪化によって「薄く」なった家計の収入であっても、借金の返済割合は増えることになる。貯蓄率が上昇して、家計のバランスシートが改善するという良い側面もある。


しかし、注目はこれまでの貯蓄投資バランスが崩れ、当たらしウネリが始まるということだ。その次の均衡点が何処に向かうのか、現時点で答えは明らかでない。とりあえず、米国政府(主要国政府もそうなるだろう)の赤字が増えるということは予想でき、貿易赤字は改善すると思うが、国内の貯蓄投資バランスはどうなるだろう。金利は良いほうか悪いほうかどちらか良くわからないが、大きく振れるリスクがあると思う。


中国の貿易収支も発表されていた。 輸出の急減によって貿易収支が急落。中国経済が内需主導型に移行できるかどうかが注目だけれど、その頼りは4兆元の経済対策で民間需要ではない。民間需要がこれでしっかり伸びてゆくかどうか。



備忘録としては、前日のCitiのCEOが年初の業績が良いということを表明したことを好感して米株市場が急上昇していた。けれど、社内向け電子メールが外に流れてって・・・
わざと観測気球を上げてみたってことかな?ようわからん。



《ニュース備忘録》

【ロイター】
米FRB、国債買い入れへ協議進める可能性=報道
2009年 03月 11日 23:22 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36930620090311
11日付米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が報じたところによると、イングランド銀行(英中央銀行)の国債買い入れの成功に触発され、米連邦準備理事会(FRB)も米国債買い入れに向けて踏み込んだ協議を行う可能性がある。

【ロイター】
株式取得機構、12日から銀行保有株の買い取り再開
2009年 03月 11日 19:49 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36929020090311
銀行等保有株式取得機構は11日、株式の買い取り業務を12日から再開すると発表した。11日の運営委員会で決定し、今回の買い取り期間を10月30日までに設定した。

【ロイター】
札幌北洋HDなど地銀3行、公的資金注入を申請
2009年 03月 11日 19:38 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36928720090311

【ロイター】
FRB議長、危機の根本的原因は「貯蓄余剰」と指摘
2009年 03月 11日 17:27 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36927420090311

【ロイター】
2月中国貿易黒字は急減、輸出入とも4カ月連続で前年比減
2009年 03月 11日 13:19 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36921520090311

【ロイター】
1月機械受注は前月比‐3.2%、4カ月連続減は史上初
2009年 03月 11日 10:12 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36916420090311

【ロイター】
米シティ、1―2月は黒字で資本力に自信=CEO
2009年 03月 11日 01:31 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36910120090310

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