米国でも株価の下落懸念が出ている。ウォールストリートジャーナルによれば、EPSなどで計算するとダウは5000ポイントを下回ると言う悲観論まで出ている。(以下、WSJから拝借)
出所:http://online.wsj.com/article/SB123654810850564723.html
2009年のS&Pに関する期待EPSは現在64ドルとなっており(S&P)、大手金融機関のこのEPS予想はゴールドマンが40ドル、バンカメ&メリルが46ドル、シティが51ドルだそうだ。現時点の64ドルからみれば、S&P500指数は金曜引値で683.38ドルなので11倍程度で取引されている。このマルチプルで計算すれば、EPS倍率11倍を前提に上記金融機関の見通しを入れるとS&Pで400ポイント台もありえると言う恐ろしい予想だ。
まぁ、何時の時代もマルチプルは完全に信用できるとは言い難いけど。。。
そんな金融市場では、誰がBailoutによってうまいこと逃げたのかという議論が高まっている。先日も書いたが、税金投入は金融関係者を潤すだけだみたいな捻じ曲がった論調が増えている。まず、WSJがAIGに注入された公的資金が何処に流れ出て行ったかという記事を掲載している。WSJの記事そのものには既に課金ロックが掛かってしまったが、ロイターがこの記事内容を取り上げており、1730億ドル以上の救済基金のうち、約500億ドルが国内外の金融機関に支払われたと報じている。特に欧州系金融機関の受取が多かったようだ。
AIGをつぶすと欧州が大混乱に陥ると言うことがはからずしも透けて見えているわけで、リーマンは破綻させたけれどAIGは支援したという判断の違いはこういうところから生じていると言われている。
記事によれば、ドイツ銀行とゴールドマンがそれぞれ約60億ドルを昨年受け取っており、他にもソシエテ・ジェネラルが48億ドル、カリヨンが18億ドル受け取ったとの推測がある。個人的には、これらは正規の契約の元で発生した資金フローであるため、受け取る側には正当性がある。そうでなければ保険でない。市場経済が成立している大きなよりどころは、とにもかくにも信用であり、それは契約の権利の履行だ。ここで、これら金融機関を非難する理由は無いが、米国国民感情としては怒り心頭だろう。「俺達の雇用が奪われているのに、税金で外国金融機関を助けるとは何事だ!!」と。まさに、マスコミの格好のネタ!!
ただ、日本だったら~と考えてみると、こういう金額はAIGから受け取るには受け取るけれども、減免とか一部辞退とか、そういう政治決着を見るんだろうな、なんて思う。昔の株の誤発注事件を思い出した。
その他、メリルがバンカメと統合する前に巨額の報酬を社員に支払っていたというニュースがブルームバーグに掲載されており、これを受け取った人が司法長官から召喚状を送付されるといった事態が記事にされている。確かに、国民感情からしたら、こういう人は幾ら正規に稼いだとは言っても、槍玉に挙げられるのは仕方が無い。日本でもボーナス30億円とか言われると、そりゃこの経済状況かでああいった給与支払いなどやってたら誰かが問題にするよねぇ。
《ニュース備忘録》
【時事通信】
自民、「二階ルート」に危機感=西松献金、政権に痛手も
2009/03/09-20:32
【ロイター】
日経平均が終値でバブル後最安値、金融不安再燃
2009年 03月 9日 17:13 JST
2009年 03月 9日 17:13 JST
【ロイター】
AIGへの政府救済金の使途、WSJ報道で疑問高まる可能性
2009年 03月 9日 13:07 JST
2009年 03月 9日 13:07 JST
【ブルームバーグ】
金融機関の最後の高額報酬か?-メリル支給の3400万ドルの高い代償
2009/03/09 12:04 JST
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