2011年3月6日日曜日

(2月21日‐2)GDPギャップ20兆円?

内閣府が今週の経済指標でGDPギャップを試算している。GDPから暫く経って発表されるこのGDPギャップの推計は一種の風物詩となっており、以前はこのギャップ額が40兆円あるから、ギャップを埋めるだけ同額の政府の補正予算が必要だなどといった凄い議論が起きた。とりあえず、今回の結果は需要不足が2010年10-12月期に20兆円程度との試算が発表されており、7-9月の時の15兆円程度からGDP成長率が悪化したために拡大したと言う結論になっている。

【内閣府】
今週の指標 No.981
国内需要デフレーターのマイナス幅は前期より縮小
2011年2月21日
http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2011/0221/981.html

【SankeiBiz】
需要不足が年20兆円に拡大 内閣府
2011.2.22 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110222/eca1102220504003-n1.htm
内閣府は21日、日本経済全体の需要と供給の差を表す需給ギャップが2010年10~12月期は3.8%の需要不足(マイナス)になったと発表した。国内経済が年間で約20兆円の需要不足に陥っている計算で、3.5%(約15兆円)の需要不足だった7~9月期から拡大した。拡大は09年7~9月期以来、5四半期(1年3カ月)ぶり。

付注1-1 GDPギャップの推計方法について
1.推計方法
GDPギャップの定義は、(現実のGDP-潜在GDP)/潜在GDP。内閣府で推計している潜在GDPは、経済の過去のトレンドから見て平均的に生産要素を投入した時に実現可能なGDPであり、その推計方法は以下のとおり。

(1) 下記のコブ・ダグラス型生産関数を想定。現実の成長率から資本と労働の寄与以外の部分(ソロー残差)を算出し、全要素生産性を推計。

Y=A(KS)^a×(LH)^(1-a)
ただし、Y   : 生産量(実質GDP)
     KS : 資本投入量(K:資本ストック、S:稼働率)
     LH : 労働投入量(L:就業者数、H:労働時間)
     A   : TFP(全要素生産性)
     a   : 資本分配率(0.33 と想定)
上式の両辺をLHで割り、対数変換した下記の式に現実の資本・労働投入量等を代入してAを求め、HP(Hodrick-Prescott)フィルタにより平滑化した値を全要素生産性として使用。

ln(Y/LH)=lnA+aln(KS/LH)

(2) 潜在的な資本・労働の寄与に(1)で推計した全要素生産性を加え、潜在GDPを計測
(変数の右上の*は潜在を表す)。
exp[ln(Y^*)]=exp[lnA+a ln(K^*S^*)+(1-a)ln(L^*H^*)]

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