2008年12月28日日曜日

急激な雇用情勢の悪化

オバマ氏の支持率が大統領就任がこれからにもかかわらず82%にも上昇している。オバマ氏はまだなにもしていない。この異様に高い期待は、ブッシュJr.の低い支持率の裏返しなのであろう。それだけに、就任後、経済・外交・内政問題などで躓いて、支持率が急落するリスクが怖い。支持率低下というプレッシャーが掛かったときに、オバマ新大統領の本当の顔が現れてくるだろう。ポピュリストなのか、それとも圧力を撥ね退けて、コツコツ地道に実績を積み上げる政治家なのか。安倍元首相の様に、政権を投げ出すことは大統領制では無いといえるので、この政治リスクは非常に注意が必要だと思う。繰り返すが、オバマ新大統領はこれまで殆ど何もしていない。

翻って、日本の雇用情勢の悪化が言われているが、厚生労働省のHPをちょっと見てみると色々なものが載せてあった。トップページを見ると、赤い背景に水色の文字で「緊急雇用対策」とかかれたタグが3つも並んでいて、重要度がわかる。

今後の雇用対策を見ると、ハローワークでの支援であるとか、住宅の継続使用であるとか、色々な対策が表示されている。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other34/taisaku.html

しかし、今一良くわからないのが、厚生労働省でハローワークを運営していて、経済産業省でジョブカフェを運営していると言う構図だ。何が違うのか・・・縦割り行政なのか・・・意味不明。無駄???

ジョブカフェ評価委員会(第15回)-配付資料
資料1 ジョブカフェ事業の平成19年度事業評価・平成20年度事業目標(全地域取りまとめ)P2
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g80929b01j.pdf
○予算推移  H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度
厚労省予算 27.3億円 25.6億円 25.8億円 26.3億円 22.9億円
経産省予算 52.5億円 67.5億円 66.5億円 13.0億円  8.5億円

それは置いておいて、厚生労働省が公表する統計に「新規学校卒業者の採用内定取消しへの対応について」という統計があるのを初めて知った。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/11/h1128-2.html

参考1「新規学卒者の採用内定取消し件数の推移」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/11/dl/h1128-2d.pdf
09年3月卒の学生に対する結果は、08年11月25日時点で87の事業所が331人の内定を取り消しているそうだ。統計は98年からあるが、内定を取り消した事業所は過去最高を既に更新。人数は98年の金融危機(長銀、日債銀破綻などの)直後の1077人には遠く及ばないが、ITバブル崩壊後の不良債権問題が深刻化した02年の380人に迫る勢いのようだ。

上記は新卒に対する統計であったが、現在の雇用に対する統計としては、毎月勤労統計が挙げられる。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/20/2011p/mk2011p.html

この統計の付表で見ると、11月の実質賃金が前年比-3.1%と急落している。名目では前年比-1.9%(現金給与総額)の下落で、実質化に消費者物価指数(除く帰属家賃)を使っているため、足下のガソリン価格のインフレ状況などが反映されて割引率が大きくなっているため、実質賃金が急落している格好なのかもしれない。名目は金額ベース、実質は物価上昇の影響を除いた数量ベースと考えるとイメージが沸くかもしれない。この物価が関わってくるところは、すこしテクニカルに歪んでいるといわれても仕方が無い部分もあるかもしれないので、人によって解釈は色々あるだろう。

しかし、数量ベースに近い実質的な雇用情勢の指標としては、労働時間が挙げられるが、11月の総実労働時間は前年比-3.9%。これは、そうだろうなと思う印象。所定外労働時間を見ると、前年比-7.0%。これはすごく大きい。更に、製造業の労働時間を見ると、-20.0%と強烈!!。

この毎月勤労統計は26日金曜日に発表されていて、同日発表されていた鉱工業生産の急落と比較すると、平仄が合っている。日本は言うまでも無く製造業主体の国で、足下の海外需要の悪化に加え、強烈な円高が追い討ちをかけていることによってこの基幹部分がボロボロにやられている。経済対策もバラ撒きではなく製造業中心に対応しなければいけないと言える。経済のレントゲンをとって、どの部分が悪くなっているか診断したら、その部分を集中的に治療するというのが正しい医者の診療の仕方である。

これで、公共投資を増やしたと言っても、製造業が苦しんでいるところを建設業で盛り上げようとしても、はっきり言ってミスマッチでしかない。製造業で蓄積された経験が無駄に放出されて消えてゆくことは大きな損失だ。派遣社員であれば、期間工が建設関連の労働者に作業着を着替えるだけだから機会損失は少ないし、流動化した雇用に対応した適切な処置というのは暴論であろう。欧米諸国で自動車産業に補助金を出すなど、既に自由競争の土台が失われてしまっているので、製造業に関しては過去の納税部分を現在の赤字と相殺して還付金にするなどの緊急時限措置で手当てするなどの方策が本当は必要なのではないだろうか。税収減は徴税当局にすると痛い話だが、ここは100年に1度の異常事態なので我慢しないと。

2009年は日本経済が本当にひどい状況になる可能性が高い。


《ニュース備忘録》

【時事通信】
ガザ大規模空爆、200人超死亡=第1次民衆蜂起後、最大の犠牲-イスラエル軍
2008/12/28-01:31
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008122800007

【ロイター】
GMAC、TARPから60億ドルの融資申請か=クレジットサイツ
2008年 12月 27日 08:13 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35645220081226

【時事通信】
上場廃止、過去最悪に=破綻、外資撤退止まらず-東証
2008/12/27-22:41
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2008122700128
2008年に東京証券取引所への上場が廃止となった企業は27日現在、79社に達し、過去最悪だった02年(78社)を上回った。

【CNNジャパン】
オバマ氏支持率また上昇、82%に 政権移行の手腕評価
2008.12.25 Web posted at: 14:38 JST Updated - CNN
http://cnn.co.jp/usa/CNN200812250012.html

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