2008年12月23日火曜日

09年度予算

12月20日に09年度予算についての財務省原案が提出された。毎年20日と決まった日に提示され、その後少しだけ予算枠を取っていたところを「大臣復活折衝」として、大臣らが財務大臣に掛け合って予算を分け合うと言う、所謂「見せ場」を経て24日の政府予算案の提示となる。

復活折衝は近年形骸化が進んだため、今年は麻生総理が指示を出して復活折衝を廃止した。その代わり、今年は3300億円の「重要課題推進枠」を財務省原案提示後、麻生総理が決定すると言う。しかし、これも「官邸主導」とはいいつつ、一種のパフォーマンスでしかない。

日本の財政の問題は時系列で並べられないということだろう。「重要課題推進枠」で決定される内容も、生活防衛などと言っておきながら、結局は医療介護などの旧来の支出の名目の組み換えだったりするのだろう。表題だけ入れ替えられていて、中身が変わっていなかったら意味が無い。そういったチェックが外部からはできない。そこは、財務省の官僚の良心を信じる以外ないのである。

毎年クリスマスに政府予算案に練り直されて発表されるというご苦労な日程(クリスチャンだったらやっていられない)を経て、新年1月に国会に提出、3月頃を目処に成立が期待される。

財務省原案を見ると、
http://www.mof.go.jp/genan21/yosan002.pdf
【歳入】      08年度予算   09年度予算     前年差
税収      53兆5540億円 46兆1030億円 ▲7兆4510億円
その他収入   4兆1593億円  9兆1510億円   4兆9917億円
公債金     25兆3480億円 33兆2940億円   7兆9460億円
合計      83兆0613億円 88兆5480億円   5兆4867億円
【歳出】
国債費     20兆1632億円 20兆2437億円     805億円
地方交付税等 15兆6136億円 16兆5733億円    9597億円
一般歳出    47兆2845億円 51兆7310億円  4兆4465億円
合計      83兆0613億円 88兆5480億円   5兆4867億円

と、税収の急減が顕著だ。その分をその他収入ということで、財投特会の受入れ4兆2350億円、所謂「埋蔵金」の活用によって補う格好だ。この様な財政の形態は維持可能なものではない。名目成長率の拡大が無い中、国債費の増大は由々しきもんだいだ。

しかし、個人的にはどうも今年度の予算を真剣に考える気が起きない。それはやはり総理大臣の求心力が無いことによって、「これが本当に予算として機能するのか?日本にとって良い処方箋なのか?」という疑念が払拭できないからであろう。予算が成立するかも良くわからない。

政治は選挙を意識してばら撒き方を志向せざるを得ないだろうし、暫定予算にして徹底的に審議しろといっても、今の自民党と民主党の政治摩擦の構図を見ていると、煮詰めていいものができるとは思えない。

財務省予算原案提示と同時に、09年度の国債発行予定が公表された。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/policy/heisei21/keikaku201220_1.pdf

カレンダーベースの市中発行額は113.3兆円。08年度の2時補正予算後の106.3兆円から7兆円の増加だ。財政年度ベースとカレンダーベースには差がある。例えば、毎年10年債を1.9兆円発行・・・などとスケジュールを組むと、ちょうど入札も国の予算の入り用額もぴったりとならない場合に端数が出る。その細かい部分を調整するのが「前倒し発行」や「後倒し発行」(出納整理期間における発行)となる。この辺りの実務部分はよほどマニアックな人(債券市場参加者の一部)でないと知っていても意味は無いのだが、要するにこのあたりを少し増減させることで調整できると言い換えることもできる。

ポイントなのは、財政の一番重要な部分は歳入と歳出であり、足りない部分を国債発行によってまかなうと言うことは、所謂「残差部分の調整」でしかないということだ。これは、金融機関の資産運用にも同じ構図が当てはまり、投資額の流入と流出との「残差」が最終的に運用余資となって、市場に投入される。私が個人的に思うのが、「残差が主役」になってはいけないと言うことだ。マスコミや市場参加者は、投資家(資金運用側)、発行体(資金調達側)問わずこの残差に注目したがる。そして、本来大切な収支の遣り繰りを行う中で、問題が肥大化してくるとこの「残差」部分に押し込められ、問題が先送りとなる。そのツケは国債発行残高となってつみあがり、将来世代の重い負担となる。

08年度末の普通国債発行残高は554兆円にのぼる見通しだ。対GDP比105.1%。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy2010g.pdf
地方も含めれば借金は778兆円程度で、対GDP比147.7%に上る。
日本人が1.5年のまず食わずで働いてやっと返せる金額だ。


《ニュース備忘録》

米大統領、TARPの残り資金めぐり何も決めていない=報道官
2008年 12月 23日 04:06 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35585220081222


NYSEユーロネクスト傘下のLIFFE、CDS清算業務を開始
2008年 12月 23日 03:36 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35584520081222


アイルランド、主要3銀行に55億ユーロを注入へ
2008年 12月 22日 08:25 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-35562820081221

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