FRBがFOMCを開催した。金融政策決定事項は前回から据え置きで、サプライズは無し。しかし、今回からFRB議長が年4回、FOMC開催後に記者会見を行うことが決定されており、FRBの景気見通しについても、これまでは議事録が発表される時に公表されていたのだが、今回からこの記者会見と同時に発表されることになった。
景気見通しなどは下記参照。今回の注目は、やはりなんと言ってもバーナンキFRB議長の記者会見で、QE2終了が6月末に近づく中で、金融政策のその後をどうするかということが記者会見で発表されるのではと期待されていた。結果は、6月末にQE2は終了するであろうが、次のステップの利上げまでは非常に時間がかかるだろうということが示唆された。バーナンキFRB議長は記者会見で「FRBが保有する証券の規模は、ほぼ一定に保たれる」と言及し、「償還期限が来た国債や住宅ローン担保証券(MBS)の再投資は続け、保有証券の額を維持する」と明言したことから、金融緩和が長期的に続くとの見通しが広がった。それによって、ドル安圧力などが生じている。
やはり、米国では雇用の動向に注目が高いのだろう。FRB議長の発言でも、雇用に言及した部分が多かったように思う。朝日新聞の記者が日本の震災の影響について質問を飛ばし、バーナンキFRB議長は日本の白川総裁の対応や日銀の金融緩和政策について賛辞を送り、日本の復活が重要だと述べていた。
米国金融緩和の解除は、非常に緩やかなペースとなりそうだ。
【FRB】
Release Date: April 27, 2011
For immediate release
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110427a.htm
For immediate release
Information received since the Federal Open Market Committee met in March indicates that the economic recovery is proceeding at a moderate pace and overall conditions in the labor market are improving gradually. Household spending and business investment in equipment and software continue to expand. However, investment in nonresidential structures is still weak, and the housing sector continues to be depressed. Commodity prices have risen significantly since last summer, and concerns about global supplies of crude oil have contributed to a further increase in oil prices since the Committee met in March. Inflation has picked up in recent months, but longer-term inflation expectations have remained stable and measures of underlying inflation are still subdued. (3月のFOMC会合以降に入手した情報は、景気回復が緩やかなペースで継続し、労働市場の全体状況は徐々に改善していることを示唆している。家計支出、企業の設備・ソフトウェアへの投資は引き続き拡大している。ただ、非住宅用構造物への投資は依然として弱く、住宅セクターは引き続き低迷している。商品相場は昨年夏以降、大幅に上昇しており、世界の原油供給をめぐる懸念は、3月の前回会合以降、原油価格のさらなる上昇の要因となった。インフレはここ数カ月加速したものの、長期的なインフレ期待は引き続き安定しており、基調インフレを示す指標は依然として抑制されている。)
Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The unemployment rate remains elevated, and measures of underlying inflation continue to be somewhat low, relative to levels that the Committee judges to be consistent, over the longer run, with its dual mandate. Increases in the prices of energy and other commodities have pushed up inflation in recent months. The Committee expects these effects to be transitory, but it will pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations. The Committee continues to anticipate a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability. (法令で定められた責務に即し、FOMCは雇用最大化と物価安定の促進を目指している。失業率は高止まりしており、基調インフレを示す指標は、FOMCが長期にわたり2つの責務に整合的であるとみなす水準と比べて、引き続き幾分低い水準にある。エネルギー、その他の商品価格の上昇は、ここ数カ月間インフレを押し上げた。FOMCはこういった影響は一時的なものと予想しているが、インフレおよびインフレ期待の動向を注視していく。FOMCは今後も引き続き、物価が安定した状況の下で、資源利用が段階的に一段と高い水準に戻ると予想している。)
To promote a stronger pace of economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to continue expanding its holdings of securities as announced in November. In particular, the Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings and will complete purchases of $600 billion of longer-term Treasury securities by the end of the current quarter. The Committee will regularly review the size and composition of its securities holdings in light of incoming information and is prepared to adjust those holdings as needed to best foster maximum employment and price stability. (より強いペースでの景気回復を促進し、インフレが時間の経過と共にFOMCの責務と整合的な水準となることを確実にするために、11月に発表した通り、本日、証券保有の拡大を継続することを決定した。特に、FOMCは保有証券の元本償還資金を再投資する既存の政策を維持し、当四半期末までに期間が長めの国債の6000億ドルの買い入れを完了させる。FOMCは入手した情報に照らし合わせて保有証券の規模と構成を定期的に見直し、雇用最大化と物価安定に最善となるよう、これらの保有証券を必要に応じて調整する用意を整えている。)
The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period.(フェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準をゼロ─0.25%に据え置き、低水準の資源利用、抑制されたインフレトレンド、安定的なインフレ期待といった経済状況により、FF金利を長期間異例に低水準とすることが正当化される可能性が高いと引き続き予想する。)
The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to support the economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate.(経済見通しと金融動向を引き続き注視し、景気回復を支援し、インフレが時間の経過と共にFOMCの責務に整合する水準となることを確実にするために、必要に応じて政策手段を用いる。)
【FRB】
Federal Reserve Board and FOMC release table summarizing economic projections from the April 26-27 FOMC meeting
Release Date: April 27, 2011
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20110427b.htm
% 2011年 2012年 2013年 長期
実質GDP
今回4月 3.1~3.3 3.5~4.2 3.5~4.3 2.5~2.8
前回1月 3.4~3.9 3.5~4.4 3.7~4.6 2.5~2.8
失業率
今回4月 8.4~8.7 7.6~7.9 6.8~7.2 5.2~5.6
前回1月 8.8~9.0 7.6~8.1 6.8~7.2 5.0~6.0
PCE指数
今回4月 2.1~2.8 1.2~2.0 1.4~2.0 1.7~2.0
前回1月 1.3~1.7 1.0~1.9 1.2~2.0 1.6~2.0
コアPCE
今回4月 1.3~1.6 1.3~1.8 1.4~2.0
前回1月 1.0~1.3 1.0~1.5 1.2~2.0
【FRB】
FOMC: Press Conference on
April 27, 2011
http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcpresconf20110427.htm
バーナンキFRB議長記者会見の映像
【ロイター】
バーナンキ米FRB議長会見の発言要旨
2011年 04月 28日 12:11 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20853020110428
<長期間の文言>
引き締めサイクル開始までにどの程度の時間がかかるかは明確には分からない。明らかに見通し次第だ。長期間の文言は、リソースの緩みや抑制されたインフレ、安定的なインフレ期待などを条件としており、これら条件が損なわれるか、もしくはかけ離れることになれば、引き締めを開始する時期となる。
長期間の文言は、行動を起こす前に数回(a couple of meetings)のFOMC会合が開催されることを意味している。しかし、どの程度早急に対応が必要となるかが不明であるため、残念ながらこのように漠然とした表現を用いている。従ってわれわれの見解を伝えるよう最大限努力する。しかしこれはあくまで経済動向次第となる。
<追加刺激策>
追加的な措置が正当化できるかどうか判断し続けなければならない。FRBの2つの責務を念頭に置いて行う必要がある。成長率とインフレ率の双方を注視しなければならない。
<償還資金の再投資>
FOMCで行われてきた議論に基づけば、債券の償還資金のすべて、もしくは一部の再投資をやめることが、おそらくFRBの出口戦略の初期段階における措置となる公算が大きいと考えている。
ただ重要なのは、これは比較的控えめな措置であるとは言え、引き締め政策になることだ。FRBのバランスシート規模縮小につながり、基本的に金融情勢が引き締まることが予想されるためだ。
こうした措置については、見通し、およびFRBが景気回復がどの程度持続可能と見ているか、またFRBのインフレ情勢に関する見解に照らし合わせて、決定を行う。FRBの決定は、こうした変化する見通しに基づくものとなる。
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