2011年6月5日日曜日

(4月28日-3)震災直後の日本の生産活動

3月の鉱工業生産速報が発表された。東日本大震災を受け、日本の生産活動がどれだけ落ち込んだかという実数値が示されることが大きなポイントである。特に、製造業はサプライチェーンという問題も抱えているため、注目度が高い。今回の経済産業省の鉱工業生産の評価は「急激に低下」である。今回、生産のマイナスに大きく寄与したのは輸送機械工業で、前月比が-46.4%とほぼ半分の生産落ち込み、前年比で見ても-47.3%であり、東日本大震災がもたらした自動車産業ネットワークの崩壊がいかに凄まじいものであったかが裏付けられた。

2番目が一般機械工業であるが、そうは言っても、代表的な生産下落品目は半導体製造装置等となっており、産業の前月比は-14.4%であった。3番目のマイナス寄与の産業は化学工業(除く医薬品)で、震災後、石油関連施設が火事になっている映像なども流れたことから、被害が大きかったといえる。化学工業(除く医薬品)は、前月比-11.4%。4番目のマイナス寄与が電子部品・デバイス工業で、前月比-6.9%であった。マイナス寄与の主な品目はモス型半導体集積回路(メモリ)、シリコンウエハ、アクティブ型液晶素子(大型)等であり、2位の一般機械工業とあわせて半導体産業への影響が大きかったと言える。

先行きについては、東日本大震災から日が経っていないため、不確実な部分は多いが、4月の製造業予測調査は前月比+3.9%、5月は前月比+2.7%と、震災前の水準を5月に取り戻すことはまず不可能であるが、緩やかにでも回復が続くとの結果になっている。一日も早い日本の産業の復活を願って止まない。

【経済産業省】
平成23年4月28日発表)
鉱工業指数 平成23年3月分(速報)
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/h2a1030j.html
急激に低下した鉱工業生産
•今月は、生産、出荷、在庫が低下、在庫率は上昇であった。
•製造工業生産予測調査によると、4月、5月とも上昇を予測している。
•生産は、東日本大震災の影響により急激に低下したものの、先行きについては回復していく見込みである。

     季節調整値     原数値
    指数  前月比   指数  前年比
生産   82.9  ▲15.3   88.9  ▲12.9
出荷   85.3  ▲14.3   95.3  ▲11.8
在庫   97.6  ▲4.3   92.5    3.4
在庫率 108.5   4.0    95.5   4.9

【経済産業省】
東日本大震災に関わる平成23年3月分の鉱工業指数の集計について
平成23年4月28日
経済解析室
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/earthquake03j.pdf
平成23年3月分の鉱工業指数の作成にあたっては、以下のとおりの対応とした。

1.調査対象、調査方法等の対応

従来通り、全国を対象とした調査結果により指数を作成することとし、東日本大震災により被災した地域[平成23年(2011年)東北地方太平沖地震にかかる被害地域第11報(3月24日)、長野県北部の地震にかかる被害地域 第1報(3月12日):別紙参照]を除外する等の集計は行わない。

2.被災地データの取り扱い等

(1) 経済産業省生産動態統計調査のデータ
東日本大震災による被災地[別紙参照]に所在する対象事業所に対し、調査票提出の可否、被災状況、生産活動への影響等のヒアリングを実施した。その結果、約1割の提出不可及び連絡の取れない対象事業所に対し、以下の処理を行った。

① 調査票の提出ができないとした事業所
→ヒアリングにより個別に得られた情報を元に推計値を作成

② 連絡が取れなかった事業所
→生産等のデータを「0」として処理。

(2) 所管外データ

① 原則として、各データの所管部署で作成した数値を使用

② 被災地を除外して集計した調査結果等については、除外した集計結果の前月比を元に全国値を推計するなど、従来データと不連続が生じないよう処理を行った。

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