2011年2月23日水曜日

(2月9日)IMFのアイルランド検証

IMFがアイルランドの財政健全化計画のレビューを承認した。以下、IMFの冒頭部分のみ抜粋して拙訳してみたが、意味がイマイチ良くわからない。とにかく、IMFからの金融支援に対する検証は、定期的に行われており、今回の検証では救済に対する条件となっている、以前に提出されたアイルランドの財政再建計画が順調に進捗していると表明されている。

【IMF】
IMF Statement on Ireland
Press Release No. 11/33
February 9, 2011
http://www.imf.org/external/np/sec/pr/2011/pr1133.htm

【IMF】
Ireland: Extended Arrangement-Interim Review Under the Emergency Financing Mechanism
Published: February 09, 2011
http://www.imf.org/external/pubs/cat/longres.aspx?sk=24634.0
Summary. Program implementation has been on target despite the uncertain political environment. Economic indicators suggest that a modest export-led recovery is under way. In the banking sector, progress is being made towards recapitalizing, deleveraging, resolving nonviable banks, and strengthening the bank resolution framework. However, the sector remains under stress and both bank and sovereign spreads have remained elevated and volatile. Fiscal performance has been in line with program targets and the approved Finance Bill will facilitate implementing the fiscal program for 2011. Efforts are under way to address the data gaps and strengthen data quality.(まとめ。実行された財政健全化計画は、政治環境が不確実ではあるが、目標に沿っている。経済指標によると、緩やかな輸出主導型の景気回復が進んでいる。銀行部門は、資本増強やレバレッジの解消、自立不可能な金融機関の解決、銀行部門の枠組の強化に向けて進んでいる。しかしながら、同部門への圧迫は続いており、銀行とソブリンスプレッドは上昇した水準でボラタイル(変動が大きい)ままである。財政の動向は再建計画の目標に沿って進んでおり、承認された金融法によって、2011年の財政計画の実行が機能するだろう。この様な努力は指標のギャップへの取り組みとなり、そのようなデータ(としてでてくる)結果を強化するように進んでいる。)

I. INTRODUCTION(1.序論)

1. On December 6, 2010 the Executive Board approved a three-year Extended Arrangement under the Extended Fund Facility (EFF) for Ireland under the exceptional access policy and Emergency Financing Mechanism (EFM). The arrangement provides access in an amount of SDR 19.5 billion (€22.5 billion, US$30 billion, 2,321.8 percent of Ireland’s quota) and is part of an overall financing package of €85 billion, with €45 billion from the European Union and bilateral European financing and the rest from self-financing by the Irish. SDR 5 billion became available on approval of the Extended Arrangement, and was purchased by Ireland on January 18, 2011 in parallel with the first EU disbursement. The EFM procedures call for a review of the initial policy response and reaction of markets to the policies within one to two months of the approval of the arrangement. To that end, a mission visited Dublin during January 19–21.(2010年12月6日、例外的政策へのアクセスと緊急金融メカニズム(EFM)の下、執行委員会はアイルランドへの延長基金ファシリティ(EFF)の下で3年間の貸出し延長を承認した。この合意は合計195億SDR(225億ユーロ、300億ドル、アイルランドの2321.8%のクウォータ(割り当て分))へのアクセスの提供であり、欧州委員会や二国間の協定である欧州ファイナンスと、残りはアイルランド自身がファイナンスすることによる450億ユーロを含む総額850億ユーロの金融パッケージの一部である。50億SDRは追加的な合意により利用可能となり、最初のEU(欧州連合)の資金提供と平行して2011年1月18日にアイルランドによって獲得されたものである。このEFMの手続きは、政策に対する最初の反応や、アレンジの承認後1、2ヶ月以内における市場の政策への反応を精査することで進められる。最終的に、1月19日~21日まで、訪問団が(アイルランドの)ダブリンを訪問した。)

II. RECENT DEVELOPMENTS(2.最近の動向)

2. Program implementation is on-track. The two end-December 2010 structural benchmarks—preparation of terms of reference for the diagnostic study and definition of scenarios for the stress tests—have been implemented. The end-December quantitative performance criterion for the exchequer primary balance, the continuous performance criterion on external payment arrears, and the end-December indicative target on central government net debt were met.(財政再建計画の実行は計画に沿っている。2010年12月の2つの構造的指針、診断調査への準備やストレステストのシナリオの定義などが実施された。12月の終わりに、国庫のプライマリーバランスの金額のパフォーマンス、引き続く対外支払いへの遅れや12月終盤の中央政府の順債務の目標指針は、予想に沿ったものとなった。)

3. Political developments have been turbulent. The Prime Minister declared a formal end to his government following the loss of his parliamentary majority. Parliament was dissolved on February 1 and early elections have been set for February 25. The public response to the program has remained favorable, but a lingering domestic perception of inequitable burden sharing persists.(政治的動向は大荒れとなった。首相は議会での過半数を(連立与党勢力の離脱により)失い、現政府の正式な終了(と解散総選挙)を宣言した。議会は2月1日に解散し、2月25日に選挙が設定された。民間の反応は、救済計画は好ましいとの見方が続いているが、負担の分担が不公平であるとの国内の見方が根強く続いている。)

4. The banking sector remains under stress. Bank asset quality as well as real estate prices continue to deteriorate in line with expectations, and the needed provisioning is keeping bank profits in negative territory. Pressure from corporate deposit outflows have moderated, however, and retail deposits continue to be relatively stable. With virtually no access to market funding, reliance on liquidity from the Eurosystem and Emergency Liquidity Assistance (ELA) remains heavy.(銀行セクターはストレス下に置かれたまま。銀行資産の質である不動産価格は予想に沿って引き続き下落しており、引当金等の必要性は、銀行収益を損失にし続けている。企業預金の流出圧力は緩やかになり、個人預金は引き続き安定している。欧州緊急流動性支援(ELA)による流動性支援は、事実上市場での資金繰りができないため引き続き比重が大きい。)

【ロイター】
アイルランドの銀行改革、政治不安定化で遅れる可能性=IMF
2011年 02月 10日 02:25 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT883939620110209
[ダブリン 9日 ロイター〕 国際通貨基金(IMF)は9日、アイルランドが金融支援を受ける条件として合意した銀行セクターの改革について、国内の不安定な政治環境のために改革が遅れる可能性があると警告した。IMFは現在、アイルランド中銀を査定中で、1月半ば時点の評価として、おおむね枠組みは健全との判断を示した。また総選挙の実施に伴い、支援プログラムの第1・第2回目の見直しをまとめて新政権樹立後に実施するとした。

【ブルームバーグ】
アイルランド救済計画は順調、銀行はなお圧迫されている-IMF
2011/02/10 01:16 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=asE6p_1yTM.Y
2月9日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は、アイルランドの金融システムは依然として圧迫されているものの、同国政府は救済の見返りに設定された最初の目標を満たしたと発表した。IMFは9日、アイルランド救済計画に関する中間報告を電子メールで発表し、同国は昨年12月末時点での財務収支や債務などに関する目標を達成したと指摘した。ただ、具体的な目標については明らかにしなかった。

【Government of Ireland】
Published on Wednesday 9th February 2011
Implementation of economic programme “on target” IMF
http://www.merrionstreet.ie/index.php/2011/02/implementation-of-economic-programme-on-target-imf/?cat=3

しかし、アイルランドの足もとでは金融システムの侵食が続いている。国有化されているアングロ・アイリッシュ銀行(AIB)は、2010年の決算を2月8日に発表し、同国市場最悪の赤字となる176億ユーロ、日本円で約2兆円の損失を発表した。同日、AIBのアラン・デュークス会長は、アイルランドが500億ユーロ、およそ5.6兆円の追加資本を必要とする可能性があることを指摘している。

昨年11月28日に決定されたアイルランドへの金融支援総額は850億ユーロであり、そのうち500億ユーロはアイルランド政府の財政のファイナンスであり、残りの350億ユーロが金融部門の支援に充当される。しかも、100億ユーロのみが即時の資本増強であり、250億ユーロは偶発事象に備えた"引き出し"であるから、このしまってある引き出しを開けても500億ユーロではどうしても勘定が足りない。アイルランド政府の財政赤字のどの程度が金融支援と重複しているかは、その場に立っている人にしか分からないかもしれないが、なかなか厳しい状況だと言うのは伝わってくる。

【ブルームバーグ】
アングロ・アイリッシュ銀:10年通期損失176億ユーロに(Update1)
2011/02/09 00:49 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=atzKQzUnIDbw
2月8日(ブルームバーグ):アイルランドのアングロ・アイリッシュ銀行(AIB)は、2010年通期の損失が約176億ユーロ(約1兆9720億円)になるとの見通しを明らかにした。アイルランド政府は2年前に国有化した同行の清算手続きを開始している。同行が発表した監査前の損失見通しには、国家資産管理機構(NAMA)への資産処分に伴う115億ユーロの損失や78億ユーロの評価損が含まれる。

アイルランド政府はこの日、AIBとアイリッシュ・ネーションワイド・ビルディング・ソサエティーに対し、預金と一部資産の売却を命じた。AIBのアラン・デュークス会長は同日、10年にわたる不動産ブームの破たんの影響で、アイルランド金融システムの損失は最大1000億ユーロに到達する可能性があるとの見方を示した。

【ブルームバーグ】
アイルランドの銀行は追加資本500億ユーロ必要にも-アングロ銀会長
2011/02/09 00:40 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=a5NTvYwM7e6U
2月8日(ブルームバーグ):アイルランド政府に国有化されたアングロ・アイリッシュ銀行のアラン・デュークス会長は、同国の銀行が500億ユーロ(約5兆6000億円)程度の追加資本を必要とする可能性があるとの見方を示した。これは、国内銀行の救済用に準備されている額を上回る。 アイルランド政府は国内銀行に対し既に460億ユーロを注入している。国際通貨基金(IMF)および欧州連合(EU)との昨年の救済合意の下で、さらに350億ユーロを銀行救済に利用できる。 デュークス会長は8日の講演で、「銀行業界の健全化には、業界全体で500億ユーロ程度が必要だろう」と概算。「再編で銀行を健全にするには、回復不能として損失を受け入れることが必要になる」と説明した。講演内容は電子メールで配布された。

【共同通信】
アイルランド、最悪の赤字2兆円 国有化された銀行
2011/02/09 08:40
http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011020901000103.html
【ロンドン共同】アイルランド政府に国有化された銀行大手アングロ・アイリッシュ・バンク(AIB)が8日発表した2010年通期の連結決算は176億ユーロ(約1兆9700億円)の純損失となり、アイルランド企業史上で最悪の赤字記録を更新した。これまでは、同銀行が前年の通期決算(08年10月から09年12月までの15カ月間)で計上した126億9900万ユーロの赤字が最大だった。

そして、更なるアイルランドの銀行問題をあぶりだしているのが、短期金融市場の資金繰りである。ロイターの翻訳はイマイチ良くわからないのだが、2月8日のアイリッシュ・インディペンデント紙によると、EUやIMFから国(?)は平均5.8%の金利で融資を受けているが、その融資は数年と長めの借入である。一方で、同国金融機関は日々の金融市場調節オペレーションでは短期的な資金繰りが実行されているが、そこで緊急融資制度を利用し、2~3%程度で借り入れている資金が大量に増えており、適格担保が枯渇しているという。最終的にはアイルランド中銀に泣き付けば良いといってしまうこともできるが、そこに瑕疵が生まれると短期金融市場に問題が生じるリスクがある。

【Irish Independent】
Banks pay less than 3pc interest on €51bn of emergency funding
By Laura Noonan
Tuesday February 08 2011
http://www.independent.ie/business/irish/banks-pay-less-than-3pc-interest-on-euro51bn-of-emergency-funding-2529378.html
The Central Bank of Ireland has dramatically increased its ELA to banks in recent months, with the sums involved soaring from €14.4bn on August 27 to just over €51bn at the end of the year.(アイルランド中央銀行は、ELA(Emergency Liquidity Assistance)緊急流動性供給)による銀行への資金供給を最近急激に増加させており、8月27日時点では144億ユーロであったものが、昨年末には510億ユーロ強へと急激に増加した。

While troubled institutions such as Anglo Irish Bank were the first to make use of the ELA, the support is now believed to be used by all major Irish banks including healthier institutions such as Bank of Ireland.(アングロアイリッシュ銀行のような問題行は、最初のELAの利用者であったが、現在、その手段による支援は、より健全と見られるアイルランド銀行のような金融機関なども含め、アイルランドの全ての主要銀行で利用されていると見られる。)

The Irish banks can't get all the cash they need from the ECB directly because they have run out of the high-quality collateral that Frankfurt demands to advance the liquidity.(アイルランドの銀行は必要とする全ての資金をECBから直接借り入れることができなくなっていて、その理由はフランクフルト(ECB本店所在地)が流動性を供給するのに要求する質の高い担保を使い果たしているためである。)

【ロイター】
アイルランドの銀行、ECBから3%下回る金利で資金供給=新聞
2011年 02月 9日 12:37 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19464720110209
[ダブリン 8日 ロイター] 8日付のアイリッシュ・インディペンデント紙によると、アイルランドの銀行はアイルランド中央銀行を通じて欧州中央銀行(ECB)から3%を下回る金利で短期の緊急資金供給を受けている。同紙によると、この金利水準は、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による総額850億ユーロの支援に基づく比較的長期の資金に対してアイルランド政府が支払っている5.8%の金利の約半分に当たる。アイルランドの銀行は2010年末までにECBから総額510億ユーロ超の緊急資金供給を受けた。

そして更なる頭痛の種が、アイルランドの総選挙である。カウエン首相はEUやIMFからの金融支援を取り付けるために自国民に厳しい財政改革を行い、国民からの非難を浴びたことで総選挙実施を宣言し、25日に投開票が行われる。野党が圧倒的に優勢と報じられる中、統一アイルランド党のケニー党首は、国際的な金融支援の金利が高いことや税金投入の前に金融機関の債券が保護されることに疑問を呈している。コントロール可能な負担水準に、債務や金利を減らすと言う主張は最もな意見であるが、同国政府への債務に限らず銀行債を持っている投資家からすると、これほど不安なものは無い。アイルランドの問題は、まだまだ産みの苦しみの過程にある。

【アイルランド】
アイルランド最大野党党首:銀行優先債保有者、救済費用負担すべきだ
2011/02/14 08:20 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=ag2ZwWjDPMm0
2月13日(ブルームバーグ):アイルランドの最大野党、統一アイルランド党のエンダ・ケニー党首は、銀行優先債の保有者は金融システムの救済費用を負担すべきだと述べた。 ケニー党首は13日、RTEテレビのインタビューで、金融システム救済費用に関し、「無担保の銀行優先債保有者が負担せずに、アイルランドの納税者が全ての負担を求められるのはおかしいと、われわれは指摘してきた」と述べた。

民間部門のアイルランドの銀行への預金増減


《ニュース備忘録》

【ロイター】
中国、穀物生産増加のためさまざまな補助金を交付へ=国営ラジオ
2011年 02月 9日 21:12 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-19472720110209

【ロイター】
日本の財政改革、成功しなければ格付けにマイナス=ムーディーズ
2011年 02月 9日 19:54 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19472520110209

【ロイター】
エジプトで再び大規模デモ、政府の政権移行計画を拒否
2011年 02月 9日 12:55 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19465520110209

【ロイター】
アイルランドの銀行、ECBから3%下回る金利で資金供給=新聞
2011年 02月 9日 12:37 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19464720110209

【ロイター】
1月のブラジルとチリのCPIが加速、利上げ観測高まる
2011年 02月 9日 12:01 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19463620110209

【ロイター】
中国人民銀の利上げはインフレ期待抑制が目的=金融政策委員
2011年 02月 9日 11:39 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19462220110209

【ロイター】
米政府、失業保険給付に伴う各州の借り入れ負担軽減策を提案へ
2011年 02月 9日 10:55 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19461520110209

【ロイター】
アングロ銀の通期決算、アイルランド史上最悪の赤字計上
2011年 02月 9日 09:50 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19459920110209

【ロイター】
米FRB、国債買い入れの見直し検討を=リッチモンド連銀総裁
2011年 02月 9日 06:32 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19454620110208

【ロイター】
トヨタ車の急加速問題で、電子系統に欠陥みられず=米当局
2011年 02月 9日 05:32 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19453620110208

【ロイター】
北京、3軒目以上の住宅購入を禁止する方針を来週発表へ=新華社
2011年 02月 9日 05:18 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-19454220110208

【ロイター】
中国小麦生産、北部穀倉地帯の干ばつが収穫のリスクに=FAO
2011年 02月 9日 00:38 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-19452620110208

【ロイター】
エジプト中銀がポンド支援に向け市場介入、信頼感回復狙う
2011年 02月 9日 00:29 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19452520110208

0 件のコメント: