2009年8月2日日曜日

(7月30日)各国財政事情

IMFが各国の財政事情について取りまとめたレポートを公表した。

July 30, 2009
The State of Public Finances:
A Cross-Country Fiscal Monitor
http://www.imf.org/external/pubs/ft/spn/2009/spn0921.pdf

色々図表などが載っていて多彩なものとなっているが、5ページにある先進国、新興国の、財政政策においてどのような分野への支出が2009年~2010年にかけておこなわれているかという円グラフは面白い。新興国は断然インフラ投資が大きく、経済対策のほぼ半分がインフラ投資になっている。これは、殆どが中国の影響だろう。

文章などを読んでいても、今回の金融危機における経済対策として、米国では7月中旬までに全体規模の35%である640億ドルが執行されているであるとか、フランスでは2009年の経済対策分の60%分が支払われたであるとか、その進捗情報も幾つかパラパラと記載されているが、具体的なデータがないので検証のしようがないのは残念。ただ、総合すると、これからの景気回復局面で、まだまだ経済対策の実効化余地、押し上げ効果がありそうだということだ。

その結果としての経済効果は

        2009年  2010年  平均
G20合計   1.2~4.7 0.1~1.0 0.7~2.8
先進20カ国 1.3~4.4 0.1~1.1 0.7~2.7
進行20カ国 1.1~5.0 0.0~0.8 0.6~2.9
となっている。

その裏返しとして、各国のプライマリーバランスや、一般政府の債務残高は悪化し、以下のような結果になる。

(対GDP比:%)  一般政府債務残高   プライマリーバランス

           2009    2014     2009    2014
豪州          13.7     25.9     -4.3    -0.4
カナダ          75.6     65.4     -3.5    -0.4
フランス        77.4     95.5     -5.3    -2.1
ドイツ          79.8    91.4     -2.3     1.9
イタリア        117.3    132.2      -0.9     0.5
日本         217.4    239.2      -9.0    -5.1
ニュージーランド  23.4    53.9     -2.1     -4.6
スペイン        54.7    81.2     -8.5    -0.4
英国          68.6    99.7     -10.0     -3.8
米国          88.8     112.0     -12.3      0.3
先進国加重平均  95.8    114.7     -8.0     -0.7

アルゼンチン     50.4    48.4      0.5      2.2
ブラジル        70.1    62.2      1.5      3.3
中国          20.9    21.3      -3.8     -0.4
インド         83.7    73.4      -4.1      0.7
メキシコ       49.2    44.5     -1.1     -0.4
ロシア         7.3     7.3      -4.9     2.4
サウジアラビア    14.6     9.4      4.6     14.0
南アフリカ      29.0    29.5     -0.5     0.0
トルコ         46.9     58.1     -0.2      1.1
加重平均      38.9    36.8      -2.4      1.0

先進国の一般政府債務残高対GDP比は、加重平均すると日本や米国の影響が大きく2014年には100%を超え、新興国は中国のウェイトが大きいため2014年でも36.8%に止まる。

プライマリーバランスは2009年は英国、米国ともに10%を超え、日本は9%もの赤字。日本にいたっては、2014年になってもプライマリーバランスの赤字は5.1%もある。

先進国の財政赤字の悪さに加え、新興国の悪化が限定的であることは大きな特徴だ。経済成長も、今後は新興国が引っ張ってゆくことになると言われてる。

ここから示唆されることは、債務と言う負担で見た場合の政府部門のパワーバランスで言うと、先進国から新興国に力が移りつつあることだ。すなわち、今後数年間は、先進国はこれら力付いている新興国からどれだけそのパワーを取り返すかということが重要になってくると思われる。

先進国政府部門は、自国の繁栄によって、他国からもう一度富を集めるのか、それとも課税によって自国民間部門に負担を転嫁するのか。大きな流れとして注目される。


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日本の鉱工業生産が発表された。
6月の生産は前月比+2.4%と4ヶ月連続のプラス。予測指数は7月+1.6%、8月+3.3%。

4-6月期は前期比+8.3%、7-9月期の予想は予測指数から前期比+7.4%になる。自動車産業が同4-6月期+17.3%、7-9月期+15.6%となって、生産量が正常化に向かうのが大きいと言える。


《ニュース備忘録》

【ロイター】
財政危機のカリフォルニア州、カルパースの資金不足も頭痛の種
2009年 07月 30日 18:32 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-10307920090730

【ロイター】
時間軸政策は今は視野にない=日銀審議委員
2009年 07月 30日 16:26 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-10302920090730

【ロイター】
米景気後退、終わりの始まりが見られつつある可能性=オバマ大統領
2009年 07月 30日 04:15 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-10284720090729

【ロイター】
米政府、シティの株式転換完了で最大株主に
2009年 07月 30日 03:48 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-10285220090729

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