米国銀行大手10行が不良資産救済プログラム(TARP)によって注入されていた公的資金を返済したと発表された。財務省やFRBのホームページをみたが、そのような発表は無く、個別行毎に返済したのを集計したか、対マスコミ用に報じられたものが出てきたと言える。
例えば、最大の返済額となったJPモルガンチェースの発表は以下の通り。
JPMorgan Chase Repays $25 Billion In TARP Funds In Full
http://investor.shareholder.com/jpmorganchase/press/releasedetail.cfm?ReleaseID=390330
ストレステストを受けた19行とそのうち9行の返済額は以下の様になっている。もう一行、ストレステストを受けていないノーザン・トラストの返済額15.7億ドルを足せば、総額680億ドル超の返済額だ。
(億ドル) ストレステスト資本不足額 今回公的資金返済額
アメックス 34
バンカメ 339
バンクオブNYメーロン 31
BB&T 30
キャピタルワン 36
シティ 55
フィフス・サード 11
GMAC 115
ゴールドマン 100
JPモルガン 250
キーコープ 18
メットライフ
モルスタ 18 100
PNC 6
リージョン 25
ステートストリート 20
サントラスト 22
USバンコープ 66
ウェルズ・ファーゴ 137
合計 746 667
680億ドル(約6.5兆円)の資金が一斉に返済され、資本がそれだけ少なくなると言うことは、自己資本比率の観点からそれだけ貸し出し余力が削られることとなるため、政府としては早期の公的資金返済に難色を示していたのだが、ウォール街叩きや幹部報酬規制などを嫌気してさっさと返したいというインセンティブの方が強く働いているためであろう。
こんな毎月の貸出し動向まで発表させられていたら、貸出動向によっては「●●が貸出しを減らした!!」などと、マスコミの格好の材料になりやすい。日本の公的資金注入後の経営健全化計画は、半年に1度の提出であったと記憶している。
TREASURY DEPARTMENT MONTHLY LENDING AND INTERMEDIATION SNAPSHOT
Summary Analysis for April 2009
http://www.financialstability.gov/docs/surveys/SnapshotAnalysisApril2009.pdf
ただ、民間からの自己資本調達をかなり進めていると言う側面もあるため、金融問題がこれで噴出しているという悪い兆候ではない。公的資金返済は、正常化の中でのある通過点での儀式みたいなものだと言える。
《ニュース備忘録》
【ロイター】
米政権が金融規制改革発表へ、銀行監督業務を一元化
2009年 06月 17日 19:38 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38602120090617
【ロイター】
「一部に持ち直しの動き」に上方修正=6月月例経済報告
2009年 06月 17日 19:16 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38601320090617
【ロイター】
米国務省が「ツイッター」に保守延期要請、イランのデモ配慮
2009年 06月 17日 12:30 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38593920090617
【ロイター】
財政赤字拡大を懸念、失業率さらに上昇へ=米大統領
2009年 06月 17日 10:59 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38591820090617
【ロイター】
欧州企業、キャッシュ面で「ぜい弱」=ムーディーズ調査
2009年 06月 17日 04:59 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38584020090616
【ロイター】
新興国の発言権拡大を要求、ドルについて言及せず=BRICs首脳会議
2009年 06月 17日 04:46 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38585120090616
2009年6月21日日曜日
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