ECBが金融安定報告書を発表した。その中にはユーロ圏銀行セクターの損失推計額も記載されていた。
15 June 2009 - Financial Stability Review June 2009
http://www.ecb.int/press/pr/date/2009/html/pr090615.en.html
試算内容を見ると以下の通り。期間は2007年~10年を対象にしている。
残高 累計損失額 損失率
米国で組成された証券
サブプライム、Alt-A証券 1060億ドル 59億ドル (55.7%)
プライムモーゲージMBS 940億ドル 20億ドル (2.1%)
合計 61億ドル
欧州で組成された証券
RMBSs 3970億ドル 600億ドル (15.1%)
CDOs 1580億ドル 320億ドル (20.3%)
CMBSs 680億ドル 190億ドル (27.9%)
消費者信用ABSs 690億ドル 50億ドル (7.2%)
その他ABS 150億ドル 10億ドル (6.7%)
CLOs 400億ドル 110億ドル (27.5%)
企業債務 5530億ドル 157億ドル (5.2%)
合計 1兆5000億ドル 1570億ドル (10.5%)
証券化商品合計 218億ドル
家計ローン 6兆5200億ドル 2000億ドル (3.1%)
モーゲージ 4兆6490億ドル 440億ドル (0.9%)
消費者ローン 8470億ドル 620億ドル (7.3%)
その他 1兆0240億ドル 950億ドル (9.3%)
企業ローン 6兆4890億ドル 2300億ドル (3.5%)
ローン合計 13兆90億ドル 4310億ドル (3.3%)
損失推計額合計 6490億ドル
09年5月までの処理額 2150億ドル
07年~08年の処理額 1500億ドル
潜在的追加損失計上額 2830億ドル
と言うような内容で計算結果が策定されている。
今年4月にIMFが公表した世界の金融機関の損失推計額では、欧州の銀行部門が累計7370億円の損失計上額推計と見込んでいたのに対し、ユーロ圏は6490億ドルの損失推計学だ。ユーロ圏と欧州との違いはあるが、おおむね悪くない推計値だと思う。加えて、過去分を除いた今後の損失推計額が2830億ドルであるから、何とか域内資本増強によって耐えられる水準ではないかと思う。マスコミの報道を見ると、米国のストレステストの結果もそうだが、IMFの推計結果などと比較するときにその対象期間や金融機関の対象部門を正確に見ていなくて、こっちが大きいとかあっちが小さいので審査が甘いんじゃないかとか、色々誤解を招く報道が多い。ちょっといい加減なんじゃないかな。僕が見ている中では、こういう試算はおおむね数字が近いものが出ていて、推計結果間で矛盾は大きくない。(民間アナリストの推計は別)
これは、9月発表の欧州ストレステストの前哨戦であり、先日のG8財務相会合で出た米国圏の政府高官が「欧州の金融検査はなぜ消極的なのか」というものに答えたものであろう。今後どれだけ詳細なものがでるか。
引き続き、欧州金融問題はチェックだ。
《ニュース備忘録》
【ロイター】
テヘラン中心部にムサビ元首相支持者数万人が集結
2009年 06月 15日 23:12 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38561420090615
【共同通信】
麻生内閣の支持急落17% 自民支持、過去最低水準
2009/06/15 20:37
http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009061501000404.html
【ロイター】
イラン大統領選の結果に「疑問ある」=米副大統領
2009年 06月 15日 12:20 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-38550820090615
【ロイター】
EU、IMF財源拡大で追加資金拠出の用意=首脳会議声明草案
2009年 06月 15日 11:44 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-38548520090615
【ロイター】
簿外資産の会計基準変更後に資本基準を見直し=米FRB
2009年 06月 15日 08:23 JST
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-38546520090614
2009年6月21日日曜日
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