2009年1月31日土曜日

前回の続き・・・IMF


睡魔に襲われて怪しいタイトルになってしまったが、IMFの見通しが大きく下方修正されていた。世界経済は2009年に0.5%成長に止まり、先進国は-2.0%に悪化し、新興国は+3.3%に止まる。その中でも下方修正幅の大きいところはアジア先進国で-6.0%修正されて-3.9%成長が見込まれており、韓国や台湾などNIESの悪化が影響していると思われる。もう一つは外貨準備減少などに揺れるロシアで、-4.2%下方修正された-0.7%成長見通しだ。中国ですら、安定軌道の成長率と言われる8%成長を割り込んでいる。

                  見通し 見通し 修正幅 修正幅
          2007  2008  2009  2010  2009  2010
世界         5.2    3.4   0.5  3.0   -1.7  -0.8
先進国       2.7   1.0  -2.0    1.1    -1.7  -0.5
米国        2.0   1.1  -1.6   1.6    -0.9  0.1
ユーロ圏     2.6   1.0   -2.0   0.2  -1.5  -0.7
ドイツ        2.5   1.3  -2.5   0.1   -1.7   -0.4
フランス      2.2   0.8  -1.9    0.7   -1.4  -0.8
イタリア      1.5  -0.6   -2.1   -0.1  -1.5  -0.1
スペイン      3.7    1.2  -1.7   -0.1  -1.0  -0.9
日本        2.4  -0.3  -2.6    0.6  -2.4  -0.5
英国        3.0   0.7  -2.8    0.2  -1.5   -0.9
カナダ        2.7    0.6  -1.2   1.6   -1.5  -1.4
その他先進国 4.6    1.9  -2.4    2.2  -3.9   -1.0
アジア先進国  5.6    2.1  -3.9    3.1   -6.0   -1.1
新興国       8.3    6.3    3.3    5.0   -1.8   -1.2
アフリカ       6.2    5.2    3.4    4.9   -1.4   -0.5
アフリカ南部  6.9    5.4   3.5    5.0  -1.6   -0.7
中東欧       5.4   3.2  -0.4    2.5  -2.6  -1.3
旧ソ連       8.6    6.0  -0.4   2.2   -3.6  -2.3
ロシア       8.1    6.2  -0.7    1.3   -4.2  -3.2
除くロシア    9.7    5.4    0.3    4.4  -1.3  -0.3
アジア新興国   10.6    7.8  5.5    6.9  -1.6  -1.1
中国       13.0    9.0   6.7    8.0   -1.8   -1.5
インド        9.3   7.3    5.1    6.5   -1.2  -0.3
アセアン5     6.3    5.4   2.7   4.1  -1.5  -1.3
 中東        6.4   6.1   3.9   4.7  -1.5 -0.6
西半球       5.7   4.6   1.1   3.0   -1.4 -1.0
ブラジル       5.7   5.8   1.8   3.5  -1.2 -1.0
メキシコ      3.2   1.8  -0.3   2.1  -1.2 -1.4

100年に一度と言う経済の悪化、特に世界の消費のけん引役となっていた米国が失速し、次のビジネスモデルが見えない。自動車などの製造業から金融などのサービス業に基幹産業が移り、そして世界の金融決済システムに機能不全を来たした結末として、次の成長の種が無い中では、成長の求心力を求めるに乏しい。だからアジアとは言っても加工産業というモデルは最終消費の存在があってこその世界の工場としての供給が成り立つ。やはり、当面世界は非常に低い成長率を甘受しなければならないのではないだろうか。

もう一つ、
「Global Financial Stability Report Market Update」
January 28, 2009
http://www.imf.org/external/pubs/ft/fmu/eng/2009/01/pdf/0109.pdf
の中で、世界の金融機関で今回の金融危機に伴い発生する損失推計額を2.2兆ドルと推計している。前回10月時点の1.4兆ドルから大幅な拡大だ。文章を良く見ると、「our estimate of the potential deterioration in U.S.- originated credit assets held by banks and others」と書かれており、米国オリジナルの信用アセットが推計の対象となっている。つまり、ヨーロッパやアジアの資産を抵当としている商品は計算の対象となっていない。この事実は結構大きいのかもしれない。

ユーロ圏の09年の成長率は-2.0%、英国の同成長率は-2.8%と予測されているが、これから欧州を襲う津波によって、この見通しが楽観的であったということにもなりかねない。欧州に対しては自分の意見は悲観的だ。

商品別の推計内訳はまだ公表されていないが、「especially in corporate and commercial real estate securities, but degradation is also occurring in the loan books of banks, reflecting the weakening outlook for the economy.」ということで、既に証券化商品だけの問題だけではなくなっている。

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