2009年2月14日土曜日

米国自動車産業のうめき

少し前までBig3と言われていた米国自動車大手3社のGM、フォード、クライスラーは、今ではミシガン3と言われるようになった。ウィキペディアで調べると、3社は以下のようだ。

GM:1908年9月16日、ウイリアム・C・デュラントが創設
フォード:1903年6月16日、ヘンリー・フォード一世が創設
クライスラー:1925年6月6日、ウォルター・クライスラー創設

世界大戦をも乗り越えた3社が苦境に立たされている。クライスラーは07年8月3日に米投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントがダイムラー・クライスラーからクライスラー部門を抽出した企業に80.1%出資を行うことで分離、株式非公開化した。投じは、LBOなどの企業買収が華やかなりしころであった。

GMとフォードは米国市場に株式を上場しているが、2月13日の株価終値はGMが2.50ドル、フォードが1.76ドルだ。時価総額は、GMが16.7億ドル、フォードが44.2億ドル。GMの凋落が激しい。ちなみに、トヨタは株価が3050円、時価総額9.8兆円、ダイムラーが株価24.14ユーロ、時価総額320億ユーロ。円換算した時価総額の順位は以下の様になる。

トヨタ    105,164 億円
ホンダ    41,008 億円
ダイムラー 37,808 億円
日産     12,432 億円
フォード    4,059 億円
GM      1,536 億円

これでは、米国自動車がビッグ3と言うのはおこがましい状態だ。そして、ビッグ3は2月17日に経営再建策提出期限を迎える。海外の報道によれば、ビッグ3は185億ドル(1.7兆円)の資金供与を政府に求めている。80億ドルがローン、105億ドルが資金供与枠だそうだ。彼らはもう既に政府からの資金借り入れを行っており、追加の支援策となる。米国自動車部品企業も米国政府に支援を求めており、同業界は既にビジネスとして立ち行かない常態である。米国自動車問題は、日本の昔のダイエー問題の比ではない。

FRBが発表する鉱工業生産指数でみると、自動車産業(分類3361-3)は2002年の生産量を100とすると、08年12月が70.0にまで落ち込んでいる。稼働率で見れば、53.0%しか操業されていない状態であり、この様な経営環境のなかで販売が増えて借金返済、経営回復の目処が立てられるとは到底考えられない。何度もいつも繰り返しているが、どうしようもないほど酷い。

16日に景気対策法案の大統領署名が行われるが、この自動車産業の経営再建策提出にぶつけることで、ダメージコントロールを図るのか、それとも補正予算成立直後に悪材料を出すのか、週末のG7などの政治日程を踏まえて米国政府の行動を見守る必要がある。

《ニュース備忘録》

【ブルームバーグ】
7870億ドルの米景気対策法案、上下両院で可決-16日にも大統領署名
2009/02/14 13:39 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003009&sid=as4nn0NeVY6U&refer=jp_home

【ブルームバーグ】
米BOA:法人・投資銀行部門を米州と米州外に分割へ-メリル統合で
2009/02/14 11:41 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003009&sid=a.kGvdCU1TQk&refer=jp_home

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