2009年5月5日火曜日

クライスラー再生に向けて

クライスラーがニューヨーク州の裁判所に対して連邦倒産法第11章を申し立てた。

クライスラーのホームページで破産手続きが日本語に翻訳されている。

2009年4月30日
クライスラー社、フィアットグループは戦略的提携に合意、活力溢れる新会社を設立
http://www.chrysler-jp.co.jp/pressrelease/pdf/20090430.pdf

再建手続きを見ると、ほぼ全ての生産拠点が5月4日より一時的に操業を停止し、30日から60日かけて生産スケジュールを正常化させるという。その分、米国の製造業の活動が停滞する可能性があるかもしれない。ISM製造業指数や、鉱工業生産などの5月の動向はちょっと注意しないといけないかもしれない。

その他、資本関係は清算手続き終了後にVEBA(任意従業員福利厚生基金)が新会社の55%を取得、米国とカナダ政府が10%、フィアット社が20%を取得し、更にフィアット社は以下の条件を満たすごとに5%づつ、合計15%を追加取得することができる。それは、

①米国で生産されるモデルに燃費40mpg(約17km/リットル)を実現するプラットフォームの提供
②米国で生産されるクライスラー製品において、燃費効率の良いエンジンラインアップを提供
③クライスラー製品輸出を促進するため、グローバル市場での販売網へのアクセスを供与
加えて、米政府支援金の返済が完了するまで、新会社の過半数株式保有者になれないとのこと。

再建手続きが30日~60日で済むかどうかは良くわからない。

その他の詳細については、ホワイトハウスのプレスリリースで公表されている。

EMBARGOED UNTIL 12:00 PM EDT
April 30, 2009
Obama Administration Auto Restructuring Initiative
Chrysler-Fiat Alliance
http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Obama-Administration-Auto-Restructuring-Initiative/

Shared Sacrificeの欄では、クライスラー債券69億ドルを保有する投資家は20億ドルの現金を受け取る(回収率29%!!!)、少数株主については第2抵当権の債券20億ドルの放棄と19%の株式からの配当の放棄、出資していたサーベラスも株式の全放棄と20億ドルの第2抵当権の放棄(正確には原典を見て欲しい)などが述べられている。

政府の資金支援は33億ドルの運転資金供給や、新生クライスラーに47億ドルの資金支援などとなっている。

再建手続きが30日~60日と明記されてしまっている点は、今後クライスラーの再建進捗がこの日付をまたいでしまったときに、「やっぱり再建はそんなに上手くは行かなかった」というネガティブ・インフォメーションになる期限を意味するため、今後問題になるかもしれない。

【ブルームバーグ】
クライスラー債権者リスト:エール大やゲイツ基金、ハリバートンなど
2009/05/02 05:23 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=aK2wgMI3LWLw&refer=jp_news_index

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